名古屋大学

2012年度 成果事例

ブロック共重合体薄膜の垂直配向ナノチャネルの創製
名古屋工業大学
山本勝宏

【研究目的】
最近、ブロック共重合体のナノスケールの規則的なミクロ相分離構造を配向化し、リソグラフィーに代わるナノパターンや透過-分離膜のナノチャネルとして利用する試みが盛んです。特に、垂直配向シリンダー構造は、様々な応用が期待される高分子ナノ構造です。本研究では、モルフォロジー転移を利用した簡便かつ低コストなミクロ相分離シリンダー構造の垂直配向化および多孔質化の新規手法の開発を目指しました。

【成  果】
両親媒性ポリスチレン-block-ポリ(4-ヒドロキシスチレン)/水溶性オリゴマー(ポリオキシエチレン) ブレンドを疎水的なトルエンの溶液からスピンコート膜とすると、親水ドメインが球状となったモルフォロジーを誘起できることがわかりました。この膜を両ドメインの良溶媒であるTHFに暴露し、球状構造からシリンダー構造へとモルフォロジー転移を薄膜中にて誘起すると高規則性の垂直配向シリンダー構造が再現良く得られることを見いだしました(図1a, 図2a,c)。さらに、水に浸漬するだけで水溶性成分が除去されるため、垂直配向多孔構造(垂直配向ナノチャネル)の簡便形成に成功しました(図1b, 図2b,d) 。本成果は、ミクロ相分離シリンダー構造の配向化と機能化の新規手法であり、英国王立化学会、Nanoscaleに出版予定です。

図1.高規則性シリンダー構造(a)および垂直配向ナノチャネル(b)のGI-SAXSパターン
図2.高規則性シリンダー構造(a)および垂直配向ナノチャネル(b)の表面構造のAFM像. 高規則シリンダーの断面TEM像(矢印は膜厚方向を示す(c). 垂直配向ナノチャネルのTEM像(無染色:膜厚~600nm) (d).
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