分子科学研究所

2012年度 成果事例

Pd/USYゼオライトを触媒とした高選択的かつ高効率的C-C結合生成反応の開発
a鳥取大学,b分子科学研究所
奥村 和a,大崎 隆典a,櫻井英博b

【研究目的】
おわん型共役化合物である「バッキーボウル」は六員環と五員環からなる化合物である.その特異な分子構造から機能性材料への応用に期待が高まっている.骨格の合成段階において,均一系Pd触媒が用いられるが,その際に配位子や大量の四級アンモニウム塩を使用する必要がある.そこで触媒調製と後処理が容易なゼオライト担持高分散パラジウム(Pd/USY)を触媒とした簡便な合成法の開発を目的とした.

【成  果】
まず反応条件の最適化を行った.触媒量 1 mol%において異なる溶媒と塩基を用い,反応を行った.その結果,溶媒としてDMSO,塩基としてK3PO4が最適であった.このときの収率は均一系Pd触媒で行った場合(49%)を上回った.さらに触媒量を10mol%にすると,収率は57%に達した.他の担体と比較したところ,Pd/Cの収率は42%であり,代表的な不均一系触媒であるPd/Cよりも高活性であった.さらに再利用性の検討をおこなった.Pd/USYの場合では初期の収率を保ったまま, 10回再利用することができた.その一方で, Pd/Cの場合では再利用4回目で失活した.以上の成果から,Pd/USYは,1) 四級アンモニウム塩が不要,2) 均一系および一般的な不均一系Pd触媒の触媒活性を上回り,3)再利用性に優れる触媒であることがわかった.

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