利用報告書

窒化硼素層間化合物の物性
小林本忠
兵庫県立大学大学院物質理学研究科

課題番号 :S-17-MS-1025
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :窒化硼素層間化合物の物性
Program Title (English) :Physical Properties of Boron Nitride Intercalation Compounds
利用者名(日本語) :小林本忠
Username (English) :KOBAYASHI mototada
所属名(日本語) :兵庫県立大学大学院物質理学研究科
Affiliation (English) :Graduate School of Material Science, Univ. of Hyogo

1.概要(Summary )
 層状構造をもつ六方晶窒化硼素(h-BN)は、グラファイトと同様、その層間に種々の原子、分子を取り込んで層間化合物を生成し、伝導性、超伝導性、特異磁性、触媒特性等興味ある物性を発現する事が期待され、理論面から様々に議論されている。しかしながら実験面では、最近のリチウムやブレンステッド酸についての報告を除きバルクな層間化合物生成の報告はなく、物性についての確実な報告は無い。我々は、金属や金属水素化物との混合物を加熱する気相法、液体アンモニアを用いる溶媒法あるいは加圧法等様々な作製法を用いてアルカリ土類金属のh-BNへの添加を試み、母体の耐熱性、潤滑性、イオン結合性を生かしての新たな層間化合物創製を目指した。

2.実験(Experimental)
磁化測定装置MPMS−7, MPMS—XL7
電子スピン共鳴装置E500
顕微ラマン分光装置RENISHAW INVIA REFLEX
 作製した試料を熱交換用のヘリウムガスと共に試料管に封入し、磁化測定装置、電子スピン共鳴装置を用いて磁気特性・電子物性を測定してスピン状態の変化、金属相の出現を調べ、超伝導相を探索した。また層間への挿入の確認の為、顕微ラマン分光装置を用いて電荷移動に伴うBNの格子振動の変化を調べた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 アルカリ土類金属Ca,Sr,Baを白色粉末状のh-BNと共に熱処理して作製した黒色試料について、SQUID、ESR、Raman分光を用いて層間化合物生成の可能性を探り、物性を探索した。前年度までにCa化合物についてX線回折プロファイルにBN三層おきにCa層が挿入された第3ステージに由来すると考えられる新たな回折線が、また顕微ラマン分光スペクトルからBNのE2g2モードにCaからBNへの電荷移動を示唆する波数シフトが一部の試料で見出され、SQUID測定とESR測定で温度に依存しない小さな常磁性成分の増加が検出された。これら層間化合物生成を示唆する結果に基づき、絞り込んだ条件下で作製した試料で実験を行ったが、現時点では試料依存性が大きく定量性は十分ではない。超伝導相は無く、金属相の存在は、猶、未確定である。
 同様に電荷移動に伴い物性が変化するKxpicene、LixC60及びNaxC60についてのSQUID、ESR、Ramanによる実験を引き続き行った。 一昨年度発表した論文で、報告されているKxpicene超伝導には疑義があり、強磁性不純物の混入による類似の磁化温度変化の見誤りと考えられる事を、通常の零磁場下冷却(ZFC)と磁場下冷却(FC)に加えて再度の零磁場下冷却(2ndZFC)での磁化測定に依り示したが、Kxpiceneにおける金属相の存在・非存在については議論があり、確定していない。様々な組成xを持つ試料について、急冷・徐冷試料の実験結果を加えての金属相不在の論文を現在執筆中である。
 LixC60について、SQUIDによる超伝導検出実験及びRaman振動数シフトによる電荷移動量見積り結果との詳細な比較から、懸案であった超伝導相及びLi飽和相の組成についての知見を前年度までに得たが、超伝導特性について更に実験を重ねた。 NaxC60について、超伝導相の決定の為、反磁性を示す試料群と示さない試料群について、SQUIDによるZFC、FC、2ndZFCやESR、Raman実験を行った。

4.その他・特記事項(Others)
 なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
 なし。

6.関連特許(Patent)
 なし。

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