利用報告書

酸化物磁性体の透磁率測定
若宮 志晴1), 安達 信泰1)
1) 名古屋工業大学先進セラミックス研究センター

課題番号                :S-19-NI-0045

利用形態                :機器利用  利用装置名:高周波透磁率測定装置

利用課題名(日本語)    :酸化物磁性体の透磁率測定

Program Title (English) :Characterization of High Frequency Magnetic Permeability of Ferrite Thin Film

利用者名(日本語)      :若宮 志晴1), 安達 信泰1)

Username (English)     :S. Wakamiya1), N. Adachi1)

所属名(日本語)        :1) 名古屋工業大学先進セラミックス研究センター

Affiliation (English)  :1) A-CRC、Nagoya Institute of Technology

 

 

1.概要(Summary )

マグネタイトやコバルトフェライト、のフェライト中空粒子を作製し、高周波の透磁率を評価した。Fe3O4では、保持力が数十Oe程度と小さい磁化曲線が得られた。これは、ナノ粒子化により、ソフト磁性が顕著になった効果である。また、高周波透磁率では、1.2 GHz付近に共鳴型の鋭いピークが複素透磁率の実成分、複素成分に観測でき、GHz高周波帯での電磁波吸収帯として期待できる。また、CoFe2O4も同様に、焼結体では、数kOeの保持力を示し、ハード磁性を示したが、中空状では、数百Oeと小さな保持力を示した。しかし、マグネタイトよりもハード性が強く、異方性磁界が大きいためか、3 GHzまでの透磁率評価では、共鳴によるピークは観測でなかった。もっと大きな周波数での測定が必要に思われる。

2.実験(Experimental)

合成はシリカナノ粒子をテンプレートとして、フェライトメッキ法でシリカ表面をコーティングし、シリカをアルカリで溶出させることで中空ナノフェライトを作製した。磁化測定はVSMにより行い、高周波磁気特性は、機器利用において、Ryowa製薄膜用高周波透磁率測定装置を用いて行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)

シリカナノ粒子にめっき加工して作製した試料についてXRD測定をしたところ、マグネタイトが析出しているということを確認した。SEM、TEM観察から20nm程度のフェライト粒子が複数凝集してシリカ粒子を覆っていた。中空粒子は、テンプレートとして用いたシリカの粒径(60~100nm)に依存した粒径分布を示した。Fe3O4中空粒子の磁気ヒステリシス曲線ではバルク体の保持力(Hc) 200~450Oeとは異なり、Hc=30~70Oe程度のソフト磁性を示し、ナノ粒子化による磁気特性を示した。CoFe2O4では、Fe3O4よりはハード磁性を示しHc=300~400Oe程度となった。これらの複素透磁率を測定したところ、図1(a)に示すようにFe3O4では、1.2GHz付近に大きな比透磁率ピークを持つ特性が得られた。CoFe2O4ではこのようなピークは、見られないのは、異方性磁界が強く、3GHzまでの測定では、共鳴起きないと思われる。Fe3O4では1.2 GHz帯、CoFe2O4では、よりも大きな周波数帯での電磁波吸収材に応用が期待できる。

 

4.その他・特記事項(Others)

無し

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1) 若宮志晴・太田敏孝・*安達信泰, Pacrim13 (Okinawa)2019年10月28日

6.関連特許(Patent)

無し

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