利用報告書

酸素吸着単層鉄の高保持力の解明
中川剛志
九州大学大学院総合理工学研究院

課題番号 :S-17-MS-2039
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :酸素吸着単層鉄の高保持力の解明
Program Title (English) :High corecivity in iron single atomic layer with oxygen adsorption
利用者名(日本語) : 中川剛志1)
Username (English) : T. Nakagawa1)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院総合理工学研究院
Affiliation (English) :1) Kyushu University

1.概要(Summary )
酸素吸着した鉄表面は触媒からスピン偏極検出器まで幅広い用途で使われており、産業利用、基礎物性の両面から研究されている。しかし、酸素吸着が鉄表面第一層の磁性へどのような影響を及ぼすのかはいまだ明らかではない。本研究では単層鉄膜の磁性が酸素吸着によりどのように変化するかをX線磁気円二色性測定(XMCD)を用いて研究した。
2.実験(Experimental)
実験は主に分子科学研究所極端紫外光施設UVSOR-IIIのビームライン4Bで行った。4Bには極低温超高真空超電導マグネット装置が設置されており、酸化鉄薄膜作製からXMCD測定まですべて超高真空下で行える。試料はW(110)上にFeを蒸着し、室温で酸素を暴露させて作製した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig.1 (a)にFe-L吸収端XMCDにより測定した単層鉄の磁化曲線を示す。清浄な鉄薄膜は2T程度の大きな保磁力を示すが、酸素吸着量が増加するとともに保磁力、磁化ともに減少し、酸素が1/3層吸着すると強磁性ではなくなる。さらに酸素吸着量を0.6ML程度まで増加させると、再び強磁性相が表れ、清浄面と同程度の大きな保磁力を示した。
この磁気転移と大きな保磁力の原因を明らかにすべくO-KのNEXAFSを測定した。Fig.1(b)にその結果を示す。0.33MLでは原子状酸素が化学吸着したことによるピークがみられるが、0.6MLではピーク形状、エネルギー位置ともに大きく変化していた。0.6MLでは化学吸着状態から大きな電荷の移動を伴う酸化状態へ変化したことが明らかとなった。
4.その他・特記事項(Others)
この研究は分子科学研究所の横山利彦教授との共同研究である。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 野満 建至ら, 応用物理学会秋季大会, 平成29年9月7日
(2) T. Nakagawa, International Symposium on Surface Science(ISSS8), 平成29年10月24日
6.関連特許(Patent)
なし

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