利用報告書
課題番号 :S-17-JI-0025
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :あらゆる基材に適用できるコーティング剤の開発とその評価
Program Title (English) :Development and evaluation of coating reagents that are broadly applicable to various substrates.
利用者名(日本語) :瀬戸 弘一, 原田 真緒, 佐伯 篤志, 新戸 浩幸
Username (English) :H. Seto, M. Harada, A. Saiki, H. Shinto
所属名(日本語) :福岡大学工学部化学システム工学科
Affiliation (English) :Department of Chemical Engineering, Fukuoka University
1. 概要 (Summary)
糖鎖は生体内で生命現象の認識シグナルとして働いている。癌細胞の転移およびウイルスの感染などは細胞表面の糖鎖とタンパク質間の相互作用が深く関与している。材料表面上に糖鎖をコーティングした糖鎖界面は糖鎖密度が高いため、強い相互作用を形成する。糖鎖界面は特異的な分子認識を発現するため、バイオセパレーション、バイオセンシング、および細胞培養用の材料に応用できる。これまでの糖鎖コーティング手法はステップ数が多く、煩雑であることが問題点であった。また、基材によって糖鎖コーティングの手法が限定されてしまうことが難点である。
茶およびコーヒーなどに含まれているポリフェノールは、分子内に多数のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物である。ポリフェノール配糖体であるルチンは、糖鎖および親・疎水両用の接着機能をもつカテコール基を含有し、それぞれ特異的分子認識部位および接着部位として働く。そこで本研究では、-グルコシル化ルチン(Fig. 1)を用いて、あらゆる材料表面に糖鎖界面を形成した。
2. 実験 (Experimental)
高分子基板(ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、およびポリジメチルシロキサン)を-グルコシル化ルチン溶液(10 g/L、リン酸緩衝液、pH 7.4)に浸漬し、30oCの暗所に静置した。48時間後、基板を取り出し、洗浄および乾燥させた。-グルコシル化ルチンのコーティングはX線光電子分光法(XPS, AXIS-ULTRA DLD, Shimadzu Kratos)を用いて確認した。
3. 結果と考察 (Results and Discussion)
-グルコシル化ルチンをコーティングする前後での基板上のXPSスペクトルをFig. 2に示す。XPS測定より、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリテトラフルオロエチレン上への-グルコシル化ルチンのコーティングを確認した。特に、従来は化学修飾が困難であるPTFEおよびPEへの糖鎖界面の構築は、新規バイオマテリアルの開発が期待できる。ポリジメチルシロキサンへのコーティングは、XPS測定からは判断できなかった。-グルコシル化ルチンは基板を限定しない糖鎖コーティング剤といえる。
4. その他・特記事項 (Others)
XPSの測定において、先端科学技術大学院大学の村上達也技官および木村一郎に大変お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。
5. 論文・学会発表 (Publication/Presentation)
(1) 佐伯 篤志, 瀬戸 弘一, 廣橋 由美子, 新戸 浩幸, 金属メッシュデバイスの微細化によるバイオセンサーの高感度化, 第54回化学関連支部合同九州大会, 2017年7月.
(2) 原田 真緒, 瀬戸 弘一, 廣橋 由美子, 新戸 浩幸, 天然ポリフェノールコーティング表面への生体分子結合能評価, 第54回化学関連支部合同九州大会, 2017年7月.
(3) 佐伯 篤志, 瀬戸 弘一, 神波 誠治, 廣橋 由美子, 新戸 浩幸, 金属メッシュデバイスの構造微細化により高感度化したバイオセンサーの開発, 化学工学会 第49回秋季大会, 2017年9月.
(4) 瀬戸 弘一, 麻生 早紀, 山下 勝也, 塚本 七海, 廣橋 由美子, 新戸 浩幸, 糖鎖固定化微粒子を用いたマクロファージの飲食作用評価, 化学工学会 第49回秋季大会, 2017年9月.
(5) 原田 真緒, 坂本 紘希, 瀬戸 弘一, 廣橋 由美子, 新戸 浩幸, 天然ポリフェノールコーティング金ナノ粒子を用いたバイオセンシングへの応用, 化学工学会 第49回秋季大会, 2017年9月.
6. 関連特許 (Patent)
なし。







