利用報告書

がん細胞特異的結合分子探索効率を向上させるマイクロ流路デバイスの開発
神永真帆(豊田工業高等専門学校 機械工学科)

課題番号 :S-20-MS-3006
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :がん細胞特異的結合分子探索効率を向上させるマイクロ流路デバイスの開発
Program Title (English) :Development of microfluidic devices to improve the efficiency of searching for cancer cell-specific binding molecules
利用者名(日本語) :神永真帆
Username (English) :M. Kaminaga)
所属名(日本語) :豊田工業高等専門学校 機械工学科
Affiliation (English) :National institute of technology, Toyota college, Mechanical engineering department

1.概要(Summary )
副作用の少ないがん治療薬の一つに,がん細胞特異的結合分子を用いた分子標的薬がある.無数の候補分子の中から効率よく特異的結合分子を回収するため,マイクロ流路デバイスの開発を行うことで,探索効率向上や自動化に取り組んできた.しかし,反応時に細胞と分子が触れ合わず素通りしてしまう,という課題があった.そのため,図1のように流路高さを切替えることで,分子探索の効率を向上させ,分子探索から実用化までの時間を短縮することに取り組んでいる.今回の施設利用では,クリーンルームの設備を利用させていただき,流路高さ切替が可能なマイクロ流路デバイスを作製した.
2.実験(Experimental)
装置開発室のクリーンルーム設備でマイクロ流路デバイスを作製した.マイクロ流路デバイスの作製手順を図2に示す.マスク作製には,マスクレス露光装置を利用した.手順(a)のレジストの塗布及び手順(f)のPDMSのスピンコートの際に,スピンコータを使用した.レジストはSU-8 3025を使用し,回転数1000 rpmで55 sec回転させることで50 µmの厚さに塗布した.(b)の露光の際にはマスクアライナを利用した.露光エネルギー量は350mJに設定した.手順(c)の現像にはドラフトを使用した.現像した鋳型をHMDS蒸気中に1 min静置することで,離型性を高めた.手順(g)および(i) PDMS同士の接合には酸素プラズマクリーナーを利用した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
流路高さ切り替え可能なマイクロ流路デバイスを作製することができた.作製したデバイスを図3に示す.バルーンに空圧を印可することで,流路天井が上下することを確認した.今後は,このデバイスを利用して流路切替時に細胞に過剰な力を加えないための力測定実験に取り組む.
4.その他・特記事項(Others)
施設利用時にご対応いただいた,分子科学研究所装置開発室の木村 幸代様に感謝いたします.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.
6.関連特許(Patent)
なし.

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