課題番号 ： S-15-NM-0068
利用形態 ：機器利用
利用課題名（日本語） ：ひずんだ炭素-炭素二重結合を有する9,9’-ビフルオレニリデン誘導体の合成と物性
Program Title (English) ：Synthesis and physicochemical properties of 9,9’-bifluorenylidene derivatives
bearing twisted carbon-carbon double bond
利用者名（日本語） ：　鈴木　利兼
Username (English) ：　Suzuki　Toshikane
所属名（日本語） ：筑波大学大学院数理物質科学研究科
Affiliation (English) ：Graduate School of Pure and Applied Science, Tsukuba University

１．概要（Summary ）
非平面π共役分子は有機電子デバイスをはじめとする有機材料分野で、有用な特性を示す分子として研究されている。しかし、各分子によって結合様式などが異なるため、基礎的な情報である二重結合のひずみが物性に及ぼす影響については未だ解明には至っていない。
そこで今回私は、フルオレンの9位を二重結合で繋いだ9,9’-ビフルオレニリデン(9,9’-BF)をベースとした分子を合成し、二重結合のみをひずませることでひずみが物性に及ぼす影響について検討を行った。

9,9’-ビフルオレニリデン骨格
熱、光、酸化還元に対して構造変化を伴う刺激応答性を示す。

２．実験（Experimental）
本研究における基礎骨格となるビフルオレニリデンやその中間体といった各分子は何段階もの有機合成を経て合成される。そのため、各段階における構造の決定は合成の成否を知るためにも非常に重要である。そこで各段階において、1H NMR並びに13C NMRを用いて構造を決定した。

３．結果と考察（Results and Discussion）
9,9’-ビフルオレニリデンに置換基を導入した誘導体を合成し、その物性をUV-visスペクトルおよびサイクリックボルタンメトリーによってその物性を検討した。
測定の結果、置換基を導入しひずみを増大させることで各化合物の極大吸収波長と、最高被占軌道と最低空軌道間のエネルギーギャップを調整することに成功し、ひずんだ二重結合が物性に及ぼす影響についての知見を得ることに成功した。
今後は置換基の種類や数を調整することで、物性とひずみについてのさらなる知見が得られるものと考えられる。

４．その他・特記事項（Others）
なし。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) T. Suzuki, A. Takai, D. Freas and M. Takeuchi. 日本化学会第96回春季年会, 平成28年3月27日

６．関連特許（Patent）
なし。