利用報告書

アルミ電解コンデンサ用箔の構造、および組成分析
雨宮公男
ニチコン製箔株式会社

課題番号 :S-17-SH-0013
利用形態 :共同研究型支援
利用課題名(日本語) :アルミ電解コンデンサ用箔の構造、および組成分析
Program Title (English) :Structure and composition analysis of aluminum foils for electrolytic capacitor
利用者名(日本語) :雨宮公男
Username (English) :Kimio Amemiya
所属名(日本語) :ニチコン製箔株式会社
Affiliation (English) :Nichicon Hi-Tech Foil Corporation

1.概要(Summary )
アルミ電解コンデンサ用化成箔は無数の穴が開いており、更にその表面に厚さ数10~数100nm程度のアルミ酸化皮膜が形成されている。コンデンサ製品への使用には高い静電容量が求められ、穴密度の増加などによる表面積アップの努力が続けられている。この副作用として機械強度の低下が課題となっており、強度の正確な評価や構成部材毎の強度評価などが重要となっている。そこで歪を正確に評価できる引張試験機などを、本プラットフォームで利用させていただいた。

2.実験(Experimental)
 引張試験では化成箔を4×10cmに切り出し、中間は3cm幅になる様にサンプルを準備した。このサンプルの両端にアルミ板を接着して引張試験機に掛け、応力-ひずみ線図を評価した。ひずみ量を正確に評価するためにサンプルに2カ所シールを貼り、その距離を光学的に測定しながら引張応力を加えた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
引張試験で得られた応力-ひずみ線図(下図)から、化成箔はアルミナと同程度の傾きで立ち上がる事が確認できた。化成箔は穴の中も含めてすべての面がアルミナで覆われており、かつ基材のアルミよりもヤング率が大きい事から、引張の初期は表面を覆うアルミナが主に力を受けていると解釈できる。また破断は、塑性変形することなく発生する。従って化成箔の破断では基材のアルミが伸びる前に、表面のアルミナが破断して全体が断裂することが分かった。ただし破断点の応力はアルミナの基礎データより低い事から、複雑な穴形状の影響を受けていると解釈できる。化成箔種を変えて評価すると応力-ひずみ線図が変わるが、傾きや破断点を評価する事で化成皮膜と穴形状の影響を切り分けて評価できる。従って化成箔の機械強度を分析的に評価できる方法として、非常に有効であることが確認できた。

4.その他・特記事項(Others)
引張試験は清水名誉教授に測定を全て実施していただき、かつサンプル準備や測定結果についてのご指導もいただき、非常に効率的に評価を進める事ができました。大変感謝しております。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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