利用報告書

イオン性色素結晶を含む新規π電子系の合成
山門陵平1), 岡田修司1)
1) 山形大学大学院有機材料システム研究科

課題番号                :S-19-NU-0041

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :イオン性色素結晶を含む新規π電子系の合成

Program Title (English) :Preparation of Novel Ionic Dye Crystals

利用者名(日本語)      :山門陵平1), 岡田修司1)

Username (English)     :R. Yamakado1), S. Okada1)

所属名(日本語)        :1) 山形大学大学院有機材料システム研究科

Affiliation (English)  :1) Graduate School of Organic Materials Science, Yamagata University

 

 

1.概要(Summary )

新規π電子系分子およびイオン性π電子系化合物を精密に設計し、適切な集合体を構築することで様々な有機半導体材料への応用が可能である。本研究では、固相重合によるポリジアセチレンの合成が可能なジアセチレンモノマーや、シアニン色素を基盤としたπ電子系イオン種を合成した。得られた化合物の特性は、UV-vis-NIR測定、ESR測定、電気伝導度測定などから評価することが可能であるが、測定には高い純度のサンプルを用いる必要がある。本研究課題では、元素分析測定を行い、合成したπ電子系化合物の純度確認を行なった。

 

2.実験(Experimental)

合成したサンプルはシリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび再結晶により精製を行い、1H-NMR測定により構造の同定を行なった。得られた化合物の純度測定のために、パーキンエルマー社製2400II CHNS/O型(S-NU-107)を用いた元素分析を依頼した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

元素分析測定を行なった化合物の一部について構造式(図1)と結果を示す。

C16O-0

Observed: C 81.44, H 10.20, N 1.23.

Calcd: C 81.45, H 10.16, N 1.25.

C1O-0

Observed: C 81.20, H 10.89, N 1.41.

Calcd: C 81.50, H 10.21, N 1.23.

C16O-1

Observed: C 74.88, H 4.59, N 2.70.

Calcd: C 76.33, H 5.00, N 2.78.

DMPB-CDCOP

Observed: C 50.90, H 3.98, N 15.70.

Calcd: C 69.55, H 5.54, N 20.28.

C16O-0は理論値と実測値がよく一致した。そのほかの化合物は理論値との差が一般的な論文投稿規定の許容をこえていたが、その後のHRESI-MS測定から目的物が確認されたことから、残存溶媒や水による影響であると考えられる。

4.その他・特記事項(Others)

本研究はJSPS科研費JP19K15616の助成を受けたものである。元素分析は、名古屋大学林育生氏の支援を得た。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1) 木村 紗百合, 一條 敬祐, 山門 陵平, 岡田 修司, 令和元年度化学系学協会東北大会, 令和元年9月21日.

(2) S. Kimura, K. Ichijo, R. Yamakado, S. Okada, The Second International Conference of Polymeric and Organic Materials in Yamagata University, 令和元年12月19日

 

 

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