利用報告書
課題番号 :S-19-NM-0016
利用形態 :技術補助
利用課題名(日本語) :インフルエンザウイルスの炎症応答に関与する宿主因子の同定
Program Title (English) :Identification of host factors responsible for inflammatory response induced by influenza
利用者名(日本語) :川口敦史, リーサンジュン
Username (English) :A. Kawaguchi, S. Lee
所属名(日本語) :筑波大学医学医療系
Affiliation (English) :Faculty of Medicine, University of Tsukuba.
1.概要(Summary)
インフルエンザウイルスの感染に応答して、生体防御を惹起するために様々なサイトカインが産生される。本研究では、サイトカイン応答を惹起する宿主の生体防御関連因子とそれを逃避するウイルスの戦略を明らかにすることを目標とする。
複製したウイルスゲノムを感知して、細胞内病原体センサー分子が活性化されることが明らかになっている。そこで、細胞内病原体センサー分子に結合する宿主因子群とウイルス因子群を網羅的に同定し、その分子機構を明らかにする。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
LC-MS/MS装置
【実験方法】
抗体レジンを用いて、感染細胞から細胞内病原体センサー分子を精製し、共沈降したタンパク質をLC-MS解析により同定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
これまでに、インフルエンザウイルス感染によって、マクロファージなど免疫担当細胞では、高い炎症応答が観察されており、多くの研究がマクロファージに着目したものであった。一方、インフルエンザウイルスが主に感染する気道上皮細胞でも炎症応答は観察されるが、その病原体センサー分子は同定されていない。そこで、我々はインフラマソーム炎症応答において、アダプターとして機能するASCと特異的に結合する分子の探索を行い、MxAを同定した(Science Immunol., 2019)。さらに、MxAに結合する宿主因子の探索も進めており、細胞骨格のダイナミクスに関与する分子群も同定されている。インフラマソーム複合体の形成に、細胞骨格系を介した制御メカニズムが存在することが推測される。
一方、MxAに結合するウイルスタンパク質の同定も進め、ウイルスゲノムに結合する塩基性タンパク質であるNPとMxAが結合することを見出した。よって、MxAはNPウイルスタンパク質をリガンドとして認識し、炎症応答を活性化することが推測される。現在、MxAとNPの組換えタンパク質を精製し、その複合体を調製しているところである。今後、精製したMxA-NP複合体のクライオ電子顕微鏡観察を行い、近原子分解能での構造解析へと進める予定である。
4.その他・特記事項(Others)
装置の使用にあたり服部晋也博士の支援を受けた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) S. Lee et al., Influenza restriction factor MxA functions as inflammasome sensor in the respiratory epithelium, Science Immunology, 4, eaau4643 (2019)
6.関連特許(Patent)
なし







