利用報告書

エクソソームと癌の放射線感受性についての研究
玉利慶介(大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学)

課題番号 :S-20-OS-0041
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :エクソソームと癌の放射線感受性についての研究
Program Title (English) :Exosome and cancer radiosensitivity
利用者名(日本語) :玉利慶介
Username (English) :Keisuke Tamari
所属名(日本語) :大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学
Affiliation (English) :Department of Radiation Oncology,Osaka University Graduate School of Medicine

1.概要(Summary )
放射線治療は癌の治療として確立した治療である。エクソソームは細胞外小胞のひとつで、細胞間コミュニケーションに重要な役割を果たしていることが明らかとなってきている。近年、癌細胞から分泌されるエクソソームが癌の悪性化(浸潤・転移など)に寄与していることが明らかになってきた。しかし現在のところエクソソームが放射線照射を受けた細胞の生存を助けるかどうかは明らかではなく、エクソソーム中に放射線照射後の細胞を助けるタンパクを同定できた場合には、放射線治療を受ける患者の血液のエクソソームを調べることで、放射線治療の効果の高い患者を層別化する個別化治療や、標的タンパクを阻害する薬剤を見つける創薬への展開などが期待される。
今回、我々は癌細胞から分泌されるエクソソームを超遠心法で分離し、その分離物質の中にエクソソームが含まれているかを確認するために、ゼータサイザーを用いて粒子サイズの測定を行い、エクソソームの精製手法の確立を目的とする。

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
S07 ゼータサイザー
【実験方法】
エクソソームの粒子径は100nm前後として知られている。我々は癌細胞B16BL6の細胞培養液を超遠心法(10万G, 70分)で微小粒子をペレット化し分離し、そ、その粒子径をS07 ゼータサイザーで測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
B16BL6細胞から分泌されたエクソソームをその細胞培養上清から超遠心法で精製し、ゼータサイザーで測定した。結果、200nmにピークがあり、エクソソームが回収できていることが分かった(図1)。
図1. 培養上清から分離したエクソソームの確認

既報ではエクソソームの粒子径は50-150nmと報告があり、それに比べると我々の測定した粒子径はやや大きい。現在、超遠心法を20万G, 70分へ修正することを検討している。
4.その他・特記事項(Others)
装置使用方法に関してご説明頂きました大阪大学分子・物質合成PFの支援員の方に感謝致します。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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