利用報告書

カルコパイライト半導体量子ドットの発光機構
葛谷俊博1)、奥山覚史2)、横井 凛2)、濱中 泰2)
1) 室蘭工業大学, 2) 名古屋工業大学

課題番号                :S-19-NI-0008

利用形態                :共同研究

利用課題名(日本語)    :カルコパイライト半導体量子ドットの発光機構

Program Title (English) :Luminescence mechanisms of chalcopyrite semiconductor quantum dots

利用者名(日本語)      :葛谷俊博1)、奥山覚史2)、横井 凛2)、濱中 泰2)

Username (English)     :T. Kuzuya1), S. Okuyama2), R. Yokoi2), Y. Hamanaka2)

所属名(日本語)        :1) 室蘭工業大学, 2) 名古屋工業大学

Affiliation (English)  :1) Muroran Institute of Technology, 2) Nagoya Institute of Technology

 

 

1.概要(Summary )

CuInS2ナノ粒子は鉛やカドミウムを使用しない環境調和型の半導体量子ドットとして、発光素子材料や太陽電池材料として注目されている。欠陥に由来するブロードな発光スペクトルを示すが、様々な発光機構が提案されており、まだ正確な理解には至っていない。そこで、新しい知見を得るために、温度変化測定を実施した。一方、量子ドットを使用したデバイスにおいては、基板上に堆積した量子ドット薄膜が使われることが多い。このような高密度状態の近接する量子ドット間には励起エネルギー移動や励起キャリア移動が起き、発光特性に変化が生じる。CuInS2ナノ粒子では、発光スペクトルと吸収スペクトルが離れた波長域に存在する。そのため励起エネルギー移動が生じにくく、ドット間の励起キャリア移動を調査するのに適している。そこで、CuInS2ナノ粒子堆積膜を対象に、励起キャリア移動の特徴を調査した。

 

2.実験(Experimental)

粒径2~3nmのCuInS2ナノ粒子を合成した。発光特性を調べるために、ナノ粒子をPMMA薄膜に低濃度に分散したフィルムを作製し、5 K~室温の間で発光スペクトルと発光寿命を測定した。また、同じCuInS2ナノ粒子を石英基板にディップコートし、高密度に堆積させた。この試料についても同様の測定をおこない、低濃度分散フィルムと比較して、堆積状態のナノ粒子集団における特徴的な励起緩和現象を調べた。

主な使用装置

紫外・可視・近赤外分光光度計(JASCO V570)

PLスペクトル・PL寿命測定装置

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

PMMAに分散したCuInS2ナノ粒子の発光強度の温度依存性を図1に示す。ナノ粒子はアレニウス型の熱消光を示した。発光強度の温度変化は、2つの活性化エネルギーを使うと良くフィットされた。これはナノ粒子内部と表面の欠陥サイトへのキャリアトラップに対応していると考えらえる。一方、ナノ粒子堆積膜の発光強度は図1に示す通り、分散状態の2つの活性化エネルギーに約80meVの活性化エネルギーを加えた3つの活性化エネルギーを使って表された。発光寿命の温度依存性の解析結果と併せて検討した結果、このエネルギーは、ナノ粒子間のキャリア移動のバリアに対応すると結論した。

 

 

 

 

 

 

 

図1 発光強度の温度依存性

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1) Y. Hamanaka, K. Watanabe, T. Kuzuya, Journal of Luminescence, Vol.217(2020)p.p.116794.

(2) 横井 凜、奥山覚史、濱中 泰、葛谷俊博, 第80回応用物理学会秋季学術講演会, 令和元年9月19日.

(3) 奥山覚史、横井 凜、濱中泰、葛谷俊博, 第80回応用物理学会秋季学術講演会, 令和元年9月19日.

 

6.関連特許(Patent)

なし

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