利用報告書

カーボンナノチューブの自発的集積化によるマクロスコピックパターニングの研究
安倍 悠朔1), 松田 佑1)(1) 早稲田大学 理工学術院)

課題番号 :S-20-MS-1063
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブの自発的集積化によるマクロスコピックパターニングの研究
Program Title (English) :Study on macroscopic self-assembled patterns of SWCNT
利用者名(日本語) :安倍 悠朔1), 松田 佑1)
Username (English) :A. Yusaku Abe1), B. Yu Matsuda1)
所属名(日本語) :1) 早稲田大学 理工学術院
Affiliation (English) :1) Faculty of Science and Engineering, Waseda University

1.概要(Summary )
 単層カーボンナノチューブ(SWCNT: Single-walled carbon nanotube)は優れた機械的・電気的特性を有するため材料科学および電子通信技術の次世代を担う素材として注目されている.しかし,SWCNTは高アスペクト比かつ強い分子間力を持つため,分離・配列化することは難しい.そこで,本研究ではSWCNTの可溶化処理とスピンコート法を用いることでSWCNTをシリコン基板上に配列化することを目指す.具体的には,まずSWCNTと可溶化剤を溶液中で混合し,SWCNT溶液を調製したのち,SWCNT溶液をスピンコート法によりシリコン基板上に成膜することでSWCNTパターンを発現させる.本研究によりSWCNTの配列化を実現することで,半導体素子やフォトニック材料,SWCNTデバイス開発の礎となることが期待される.

2.実験(Experimental)
 分子科学研究所では各種分析装置を用いてSWCNTを配列化した膜の解析を行った.低真空分析走査顕微鏡(Hitachi SU6600)を用いた解析では,膜表面の形態観察を行い,SWCNTが配列化している様子を詳細に調査した.また,顕微ラマン分光(RENISHAW inVia Reflex)を用いた解析では,膜表面にSWCNTが存在しているかを確かめた.

3.結果と考察(Results and Discussion)
 低真空分析走査顕微鏡による膜表面の形態観察の結果,ナノスケールでSWCNTが平行に配列していることが確認できた.また,平行な配列以外に同心円状に配列している箇所も観察された.この結果からSWCNT溶液の濃度と基板表面の条件がパターンの発現とパターンの形状に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった.また,低真空分析走査顕微鏡による元素マッピングを行ったところ,パターンが発現している箇所からは炭素が強く検出された.したがって,パターンを構成している物質はSWCNTであると推定される.
 顕微ラマン分光による膜表面のラマン分光の結果,1590 cm-1付近と1350 cm-1付近にピークが検出された.これらのピークはそれぞれGバンドとDバンドであると考えられ,どちらもSWCNTの特性に由来する特徴的なバンドである.したがって,膜表面にSWCNTが存在することが確かめられたと言える.

4.その他・特記事項(Others)
 本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(分子・物質合成)の支援により分子科学研究所で実施された.
 本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(分子・物質合成)の支援により九州大学で実施された.
 本研究の一部は文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム(分子・物質合成)の支援により北陸先端科学技術大学院大学で実施された.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
 なし

6.関連特許(Patent)
なし

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