利用報告書

カーボンナノチューブ造粒化の検討
山本 宏史1), 折田 直樹2)
1) , 2) 三菱商事株式会社

課題番号 :S-19-KU-0012
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブ造粒化の検討
Program Title (English) :Study on granulation of Carbon Nanotube
利用者名(日本語) :山本 宏史1), 折田 直樹2)
Username (English) :H.Yamamoto1), N.Orita2)
所属名(日本語) :1) , 2) 三菱商事株式会社
Affiliation (English) :1) , 2) Mitsubishi Corporation

1.概要(Summary )
電気・電子分野、自動車、リチウムイオン電池などにおける需要が拡大しているCNTであるが、繊維状ナノ粉体という形態から、粉塵飛散対策が必要であり、樹脂・ゴム・溶媒などへの分散が難しい点が普及のネックとなっている。本研究では、CNTの表面にコーティングを施す事によって、CNTの粉塵を低減させ、さらにCNTと樹脂等への分散性を向上させることを目指している。

2.実験(Experimental)
CNT としては、韓国 KUMHO 社製のパウダー100P と昭和電工社製の VGCF-H(繊維径 150nm)を用いた。 物質合成装置内に設置したホモミキサーを用いてCNTと純水を撹拌し、CNT 分散液を得た。この水系分散液をスクリュー型攪拌機付き容器に移し、混合しつつオレフィン系等の樹脂を溶解した溶媒を少量ずつ添加していき 0.5~2mm径の球状造粒物を得た。造粒物は、メッシュスクリーンで脱水した後、真空乾燥器で残留水分、溶媒を揮発させ 目的物を得た。

3.結果と考察(Results and Discussion)
CNT 分散水溶液にオレフィン系等の樹脂を溶解した溶媒を添加することで、 0.5~2mm径の球状造粒物が得られる(図1)。造粒化CNTの嵩密度は、原料となるCNTと比較し約2~10倍と大きく、包装コストや輸送コスト、倉庫コストの低減化の面において有利であることが特長である。本支援により造粒化CNTを超高分解能電子顕微鏡で観察し、分散性との相関を検証した結果、樹脂・ゴム・溶媒などへの分散性能の向上には造粒化したCNTの「空隙率」を高めることが必要であることを突き止めた。すなわち従来製法では、溶液中でCNTを攪拌脱気するため、工程内で造粒物が脱気され、結果として空隙率の低い造粒物が生成されていたが、本支援を受けて開発した新造粒法(特許出願済み)は、溶液中での攪拌脱気工程を経ないため、空隙率が高くなり、造粒物の樹脂への分散性が向上することが確認された(図4)。新造粒法はCNTの粉じん低減にも効果が有ることが分かった。1,000mg投入時の粉じん飛散量は従来製法によるものが0.227mgであったのに対して、新造粒法では0.022mgと約1/10に低減されている(図5)。
このことは、飛散性もさることながら包装コストや輸送コスト、倉庫コストの低減化に繋がり好ましい。   本支援による成果は本造粒化技術の優位性を高め、事業化の加速に大きく貢献した。

図1.本支援を通じて開発した新造粒法で作製した造粒化CNTの写真

4.その他・特記事項(Others)
九州大学 分子・物質合成プラットフォームを利用し合成の支援を受けた。ここに謝辞を示す。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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