利用報告書
課題番号 :S-16-JI-0024
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ガスイオン源搭載FIBによるダイヤモンド中への選択的NVセンター形成
Program Title (English) :Selective formation of NV centers in diamond by gas-source FIB
利用者名(日本語) :岩崎孝之
Username (English) :Takayuki Iwasaki
所属名(日本語) :東京工業大学工学院電気電子系
Affiliation (English) :1) Department of Electrical and Electronic Engineering, Tokyo Institute ofTehcnology
1.概要(Summary )
ダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)センターは室温で動作する高感度センサとして研究が進められている。磁気、電界、温度、歪みなど様々な物性を高感度かつ高空間分解能で計測することができる量子センサとして期待されている。NVセンターはイオン注入によりダイヤモンド中へ窒素を打ち込むことによって形成できるが、通常のイオン注入では基板中のランダムな位置にNVセンターが形成されてしまう。本研究では、ガスイオン源を搭載したFIBにより、ナノレベルにおいて狙った位置にNVセンターを形成するための実験を実施した。
2.実験(Experimental)
ダイヤモンド中への窒素イオン注入は、電界電離ガスイオン源搭載集束イオンビーム装置(GFIS-FIB)により実施した。格子状にNVセンターを配列形成することを目的に、窒素イオンを800 nmステップで注入した。注入後の高温アニールにより、空孔の拡散を促進することでNVセンターを形成した。NVセンターからの発光を共焦点顕微鏡により観察した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
空間分解能約300nmを有する共焦点顕微鏡により、配列注入した領域を観察した。注入領域においてNVセンターからの赤色発光を観測し、設計通り800 nm間隔で格子状に配列していることがわかった。高温アニール後にも関わらず格子配列は保たれているのは、ダイヤモンド中では窒素原子の拡散が小さいためであると考えられる。光検出磁気共鳴測定において共鳴位置にディップを観測できたことから、作製したNVセンターがセンサとして機能することを明らかにした。
多くの格子点でNVセンターが確認されたが、格子位置にNVがいない点も存在した。また、NVセンターが存在するところでも、2倍以上の強度差がある場所が観測された。格子位置の1スポットで同量の窒素を注入しているため、場所によってNからNVになる変換効率が異なるためだと考えらえる。今後、注入条件・アニール条件・基板状態の最適化でNVセンター生成率の均一性向上が期待できる。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







