利用報告書
課題番号(Application Number):S-15-NR-0027
利用形態(Type of Service):技術代行
利用課題名(日本語) :ガリウム系材料の表面組成及び微細構造の研究
Program Title (English) :The study on the surface microstructure and composition of gallium materials.
利用者名(日本語) :岩崎 仁1), 竹綱 啓尚2)
Username (English) :Masashi IWASAKI1), Hirotaka TAKETSUNA2)
所属名(日本語) :1) 京都工芸繊維大学環境科学センター, 2) 堺化学工業株式会社中央研究所
Affiliation (English) :1) Kyoto Institute of Technology, 2) SAKAI CHEMICAL INDUSTRY Co. Ltd.
1.概要(Summary)
昨年度に続き、種々の条件で合成された窒化ガリウム系化合物の粉体及び薄膜材料を対象として、その表面および表面近傍の元素分布の解析をX線光電子分光分析(XPS)により試みた。その結果、合成時に導入する異元素の量により最表面と表面近傍内部との組成比に差があることがわかった。
2.実験(Experimental)
島津 KRATOS AXIS-165またはULVAC PHI 5000 VersaProbe IIを使用して、試験的に調製した窒化ガリウム粉体、またはRFスパッタ法で作製した窒化ガリウム薄膜の表面元素分布を解析した。測定には主にAlを線源とし、一部Mg、Zrも線源として用いた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
X線源にAl Kα線を用いた場合、Gaのオージェ電子によるシグナルがNの位置に重なり、Nについての有意な情報が得られない。このため、線源をMg、Zrと替えて測定を試みたとが現状では定量的な測定はできていない。一方、Fig.1、2はAlを線源として用いた結果であるが、異元素導入量など調整条件が異なる試料A~Eにおいて、Eのシグナル相対強度が同じGaの2pと3dで他の試料と異なり、Ga2pで低いことがわかる。これは2pシグナルが表面から数層の情報を反映し、3dシグナルにはこれより深い層の情報を多く含むためと考えられ、E試料では表面近傍でGaの組成比が変化すると結論できた。粉体試料はエッチングによる深さ方向分析に適さないため、この情報は貴重であった。
4.その他・特記事項(Others)
今後も、MgやZrを線源としての測定を計画しており、来年度も引き続き貴機関を利用して本研究を実施する予定である。
謝辞:操作を担当していただいた奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科技術職員 岡島康雄様に感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
「窒化ガリウムの光触媒有機物分解作用」、朝倉一寧他、画像関連学会連合会 第2回秋季大会要旨集、2015, p5
6.関連特許(Patent)
特許出願を準備中である。







