利用報告書

ガルドネラ菌培養上清のプロテオーム解析
鈴木佑典1

課題番号                :S-20-NM-0053

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :ガルドネラ菌培養上清のプロテオーム解析

Program Title (English) :

利用者名(日本語)      :鈴木佑典1)

Username (English)     :Y. Suzuki1),

所属名(日本語)        :1) 日本大学理工学部物質応用化学科

Affiliation (English)  :1) College of Science and Technology, Nihon University

 

 

1.概要(Summary )

本研究は、日本大学医学部加藤侑希先生との共同研究である。

先行研究において、ガルドネレラ菌の培養上清を子宮頸部上皮細胞に添加すると抗菌ペプチドが高効率で誘導されることを明らかにしている。本実験では、網羅的プロテオーム解析を行い、ガルドネレラ菌の培養上清中の抗菌ペプチド誘導因子を探索することを目的としている。

 

2.実験(Experimental)

先行研究において、培地のみとガルドネレラ菌の培養上清のそれぞれからアルブミンを除去した後の試料を用いて,プロテオーム解析を行った。上記で調製した各試料溶液とSDS-PAGEで分離後の特異的バンドから切り出した試料のそれぞれを還元・アルキル化、トリプシン消化、およびZipTip C18またはµC18による脱塩操作を行った後、凍結乾燥した.最終的にLC-MS/MS(Orbitrap,S-NM-046)を用いてプロテオーム解析を行った.

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

調製後の各試料のLC-MS/MSスペクトルからProtein Discoverer 2.4ソフトウェアを用いて解析を行った。その結果、培地由来や操作過程のコンタミネーションと考えられるアルブミンやケラチンなどのタンパク質は同定されたが、ガルドネレラ菌由来のタンパク質は同定されなかった。SWISS-ProtおよびNCBInrの2つのデータベースを用い、また、生物種に関しても限定せずに広く検索しても候補タンパク質は得られなかった。コントロールとして解析したウシ血清アルブミン(BSA)のトリプシン消化物由来のLC-MS/MS解析後の全イオン電流(TIC)クロマトグラムおよび同定されたBSAのカバー率から、装置の状態も良好であり、また、良好な各バンド由来のTIC(図1)や約3000のMS/MSスペクトルデータのS/N比なども良好であったことから、解析条件を再度検討した。以上から、FASTA形式のガルドネレラ菌由来のタンパク質データを用いて再度解析した結果、各バンド特異的な複数の候補タンパク質が得られた。今後、再現性を確認しつつ、ゲル内消化物のMALDI-TOF/MS解析を行った際のデータ等とのすり合わせを行っていく予定である。

図1.ウシ血清アルブミン(BSA)消化物およびガルドネレラ菌の培養上清特異的バンド由来試料(①および②)の全イオン電流(TIC)クロマトグラム

 

4.その他・特記事項(Others)

本研究の遂行にあたり,技術指導して頂きましたNIMS分子・物質合成プラットフォームの箕輪貴司博士,竹村太郎博士,服部晋也博士に感謝いたします.また同プラットフォームの吉田真樹氏、高橋みどり氏に支援を受けました.

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし。

6.関連特許(Patent)

なし。

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