利用報告書
課題番号 :S-15-TU-0008
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :キナアルカロイド誘導体触媒の合成依頼
Program Title (English) :The synthesis of cinchona alkaloids derivatives
利用者名(日本語) :小池 伸幸
Username (English) :Nobuyuki. Koike
所属名(日本語) :デクセリアルズ株式会社
Affiliation (English) :Dexerials Corporation
1.概要(Summary)
キナアルカロイド誘導体は、様々な有機合成に用いられる有用な触媒である。特に、キニーネとキニジンはジアステレオマーの関係にあり、そのため、特定の化学合成において、不斉触媒として作用する1)。
本研究では、キニーネ、およびキニジンをアセチル化し、かつメチル基を脱離させた誘導体(脱メチル化キニーネアセテート、および脱メチル化キニジンアセテート)の合成に取り組んだ。
2.実験(Experimental)
キニーネ、およびキニジンを出発原料とし、CH2CL2中で、トリエチルアミン、DMAP、および酢酸、または塩化アセチルを付与し、0℃で約4h撹拌した。その後、純水を加えて、分液操作を行い、得られた溶液をエバポレーターにて濃縮した。さらに、カラム精製を用いて所望の物質であるアセチル化したキニーネ、およびキニジン(キニーネアセテート、キニジンアセテート)を約80%の収率で得た。次に、得られたアセチル化体を、CH2CL2中、‐78℃で、三臭化ホウ素を加え、1h撹拌後に0℃で4h撹拌した。得られて溶液にアンモニア水を加えクエンチ処理した。その後、分液操作を行い、得られた溶液をエバポレーターにて濃縮した。さらに、カラム精製を用いて所望の物質である脱メチル化キニーネアセテート、および脱メチル化キニジンアセテートを約50%の収率で得ることができた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
脱メチル化キニーネアセテートの元素分析の測定結果(予測値、および分析値)をTable 1に、NMRの測定結果をFigure 1に示す。予測分子式はC21H24N2O3であり、上段に各元素の理論上の含有率、下段に分析による含有率の値を示す。Table 1から分かるように、予測値と分析値は良好な一致を見せている。また、NMRのスペクトルより、アセチル化体が形成されていること、メチル 基が脱離していることが示された。キニジン由来の脱メチル化キニジンアセテートについても、同様の結果を得ている。以上のことより、本製法により、キナアルカロイド誘導体である脱メチル化キニーネアセテート、および脱メチル化キニジンアセテートが生成したことを確認した。
4.その他・特記事項(Others)
・参考文献
1)Steven T. Staben, Xin Linghu, and F. Dean Toste、J. AM. CHEM. SOC. 2006, 128, 12658-12659
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







