利用報告書
課題番号 :S-17-NU-0016
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :キラリティを制御した配位高分子のvcdによる評価
Program Title (English) :VCD investigation of a chiral metal–organic framework
利用者名(日本語) :山田 鉄兵1),2),3), 江口 稔季1), 君塚 信夫1),2)
Username (English) :T. Yamada1),2),3), T. Eguchi1), N. Kimizuka1),2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院工学研究院, 2) 九州大学分子システム科学センター, 3) JST さきがけ
Affiliation (English) :1) Faculty of Engineering, Kyushu University, 2) Center for Molecular Systems, Kyushu University, 3) PRESTO, JST
1.概要(Summary )
アミノ酸を経由して配位高分子LaBTBを合成することで、キラリティの制御に成功した。このキラリティを振動分光によりより詳細に理解することを目指し、振動円二色性分光を行った。
2.実験(Experimental)
振動円二色性分光装置(VCD)を使用して測定した。測定試料としてはDF-LaBTB、LF-LaBTBおよびそれらに色素を導入したものを用いた。測定試料をKBr粉末と混合し、ペレットを形成して測定に供した。
測定は室温にて窒素気流下で行った。測定装置は日本分光株式会社のFVS-6000を用いて行った。波長分解能4 cm−1、2000~850 cm−1の範囲で測定を行った。バックグラウンド測定を及びパラメータ設定を32回積算で行った後、サンプルをセットし、1000回積算して測定データとした。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1にDF-LaBTB、LF-LaBTBおよりラセミ体のLaBTBのVCDスペクトルを示す。図に示すとおり、1400および1500 cm-1付近のLaBTB骨格に由来する吸収において、ミラーパターンのVCDスペクトルが得られた。ラセミ体のLaBTBではシグナルが観測されなかったことより、アミノ酸を経由してLaBTBを合成することでその絶対構造が制御されていることが示された。また、色素を導入したDF-LabtbおよびLF-LaBTBでは、色素由来の吸収においてミラーパターンのVCDスペクトルが観測されたことより、LaBTBの細孔に導入された色素はLaBTBのキラル空間を認識していると考えられる。
4.その他・特記事項(Others)
測定にあたっては名古屋大学大学院工学研究科 八島研究室の方々、特に田浦 大輔先生に大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 江口 稔季, 山田 鉄兵, 君塚 信夫, 錯体化学会第67回討論会, 平成29年9月
6.関連特許(Patent)
なし。