利用報告書

コバルトナノ粒子の合成と解析
冨永昌人, Shaimah Rinda Sari
佐賀大学理工学部

課題番号 :S-20-KU-0043
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :コバルトナノ粒子の合成と解析
Program Title (English) :Synthesis and analysis of cobalt-nanoparticles
利用者名(日本語) :冨永昌人, Shaimah Rinda Sari
Username (English) :M. Tominaga, Shaimah Rinda Sari
所属名(日本語) :佐賀大学理工学部 
Affiliation (English) :Faculty of Science and Engineering

1.概要(Summary )
 リン酸イオンは、地下水と地表水のよく知られた汚染物質です。農地やその他の供給源からのリン酸塩濃度のわずかな増加でさえ、条件さえ整えば富栄養化に寄与する可能性があります。 その結果、藻類やその他の水生植物の過剰な成長につながります。リン酸イオンのモニタリングは、環境の安全にとって重要ですが、リン酸イオンの濃度は、通常、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定されます。この方法は複雑な前処理工程を必要とするため、リン酸塩の濃度を継続的に監視することは困難です。 本研究では、コバルトナノ粒子修飾電極を用いて電気化学的にリン酸イオン濃度を検出することを試みました。電極上のコバルトナノ粒子の原子化状態はリン酸イオンとの反応に大きく影響を及ぼすと考えられ、X線光電子分光分析装置による解析を実施しました。

2.実験(Experimental)
 カーボンナノチューブ上に合成下コバルトナノ粒子の原子価状態を、X線光電子分光分析装置AXIS-ULTRAにて解析した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 Figure 1に示すように、約780.1 eVに観測されるCo 2p3/2と約795.68 eV に観測されるCo 2p1/2は、Co3O4とCoOに由来するCo3+とCo2+の存在を示します。Co 2p3/2とCo 2p1/2近傍の約773.5、785.16、802.39 eVに観測されたサテライトピークは、コバルトの酸化状態に対応することが知られています。Co(II)とCo(III)の混合酸化状態であるCo3O4の場合では、2 +および3+状態が観測されることが予想され、サテライトピークはこれらによるピークと考えられます。102.08 eVに観測されたCo 3sピークはCo3+低スピン状態を示します。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Shaimah Rinda Sari, Masayuki Tsushida, Masato Tominaga, The 10th International Conference of Muhammadiyah and Aisyiyah Higher Education Association, 2020年9月25日.

6.関連特許(Patent)
なし

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