利用報告書
課題番号 :S-16-MS-0043
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :サブテラヘルツ~遠赤外対応温度可変用液体セル
Program Title (English) :temperature dependent liquid cell for sub THz to far-IR region
利用者名(日本語) :富永圭介
Username (English) :K. Tominaga
所属名(日本語) :神戸大学分子フォトサイエンス研究センター
Affiliation (English) :Molecular Photoscience Research Center, Kobe University
1.概要(Summary )
液体の水は分子間の水素結合により、ナノメートルサイズのネットワーク構造を形成するが、その局所構造の動的な揺らぎが水の特異性のみなもとである。サブテラヘルツ(THz)~遠赤外領域では、水は分子間伸縮振動やライブレーション、また水素結合ネットワークの構造揺らぎといった、分子間の運動成分を持つ。本液体セルは、水のサブTHz~遠赤外スペクトルを精度よく測定し、またその温度変化を測定することにより、水の分子間のダイナミクスの協同性、階層性を明らかにすることができる。
2.実験(Experimental)
①温度可変セルの製作
図1.サブテラヘルツ時間領域分光装置に組み込んだ温度可変セル
②光路長数μmのGe基板
400 cm-1から1000 cm-1の水のライブレーションバンドを透過法により観測するために、Geを基板とした窓板を作成した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
200 MHzから1000 cm-1の帯域で分光測定を行うが、マイクロ波帯はネットワークアナライザーを用いた。本研究では、サブTHz領域(30 GHz~400 GHz)に特化したスパイラル型の光伝導アンテナを用いた時間領域分光装置を製作した。製作された温度可変セルを図1に示す。サンプルとリファレンスからなり、同一の冷媒を流すことにより二つのセルの温度を同一に保った。また、通常のFTIR分光器を用いて80 cm-1より高波数側の吸収スペクトルを測定した。遠赤外領域の吸収スペクトルはGeの窓板を用いた。図2にスペクトルの例を示す。
図2.水の20℃における複素誘電率スペクトルの虚部。赤い点が測定値。図中には、複素誘電率に対するモデル関数を用いて解析した結果も示している。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 9th International Conference on Broadband Dielectric Spectroscopy and its Applications, Pisa, September 11-16 (2016).
(2) 第10回分子科学討論会、神戸、9月13日-15日、(2016).
6.関連特許(Patent)
なし







