利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1051
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :シクロデキストリン類と薬物の包接複合体の構造解析
Program Title (English) :Single crystal structure analysis of cyclodextrin-drug inclusion complexes
利用者名(日本語) :小川 法子
Username (English) :N. Ogawa
所属名(日本語) :愛知学院大学 薬学部 製剤学講座
Affiliation (English) :Department of Pharmaceutical Engineering, School of Pharmacy,
Aichi Gakuin University
1.概要(Summary )
シクロデキストリン (CD) 類はD-glucoseが環状に結合した環状糖類であり、glucose単位6, 7, 8より構成されるα-,β-,γ-CD等が知られている。CD類は疎水性の空洞を有し、この空洞に薬物を包接することで薬物の安定性向上や溶解性改善などを可能とすることから、薬物をCD類に包接することで得られる利点は多い。本研究では、包接複合体におけるCD類と薬物の構造を明らかにすることで包接メカニズムを解明することを目的として、単結晶X線回折装置を用いてCD類の薬物包接複合体の結晶構造解析を試みた。
2.実験(Experimental)
CD類と薬物の包接複合体結晶は所属機関にて作製を行った。単結晶を作製した後、分子科学研究所に持参し、単結晶X線回折装置にて回折パターンを測定し構造解析を行った。単結晶X線回折装置としては、Rigaku MERCURY CCD-1・R-AXIS IV及びRigaku MERCURY CCD-2、また、微小結晶Rigaku MERCURY CCD-3を利用した。結晶を顕微鏡にて確認し、クライオループにて装置に設置し、窒素噴霧低温下で測定を行った。解析は構造解析プログラムCrystalStructureTM およびSHELXを内蔵した結晶構造解析ソフトであるYadokari-XG 2009, Yadokari-XG 1, 2)を用いて行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
CD類(α-,β-,γ-CD) と複数の薬物の包接複合体結晶を調製し、作製に成功した複数の結晶について、単結晶X線回折測定を試みた。
測定および構造解析の結果、各種CD類とR(+)-リポ酸の包接複合体の初期構造を得ることができ、リポ酸はCD類と包接複合体を形成することが確認できた。今後、引き続き構造の精密化を重ね、包接複合体構造を決定していく予定である。また、精密化の結果次第では、各種包接複合体結晶について、再度、試料作製と測定を行い、構造の精密化を重ねる予定である。
他に、コエンザイムQ10 (CoQ10) を構成するイソプレン構造を有する複数の化合物とγ-CDの包接複合体結晶を作製し、単結晶X線回折測定を行った。数多くの機能性食品に配合されているコエンザイムQ10は-CDに包接させることで、その生物学的利用能が向上することが報告されているが、その包接複合体構造や化学量論比などについて統一的な結論に至っていない。したがって、CoQ10のイソプレン構造に着目して複合体構造予測に必要となる基礎検討を行っている。複数の化合物について包接複合体の単結晶を作製し、単結晶X線回折測定を行ったが、いずれも初期構造を得るに至っていない。今後、さらに単結晶の作製と測定ならびに解析を重ねる予定である。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本利用にあたり、分子科学研究所 機器センターの皆様に支援を頂きました。また、本課題の実施にあたり、分子科学研究所 岡野芳則先生、藤原基靖先生に測定方法についてご指導を頂きました。厚く御礼申し上げます。
参考文献:1) 脇田啓二, Yadokari-XG, 単結晶構造解析ソフトウェア (2001). 2) 甲千寿子, 秋根茂久, 根本隆, 權垠Yadokari-XG 2009, 日本結晶学会誌, 51, 218-224 (2009).
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
学会発表:1) 小川法子他, R-αリポ酸と-シクロデキストリンの包接複合体の単結晶X線構造解析, 第30回シクロデキストリンシンポジウム, 熊本, 2013年9月12日
2) 小川法子他, イソプレン構造を有する化合物の-シクロデキストリンによる包接化とその構造解析, 日本薬学会第135年会, 神戸, 2015年3月26日
6.関連特許(Patent) なし







