利用報告書
課題番号 :S-16-KU-0026
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :セルロースのマーセル化のメカニズムについての研究
Program Title (English) :Studies on the mechanism of mercerization of cellulose
利用者名(日本語) :宮嵜未彩1), 巽 大輔2)
Username (English) :M. Miyazaki1), D. Tatsumi2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院生物資源環境科学府, 2) 九州大学大学院農学研究院
Affiliation (English) :1) Graduate School of Bioresource and Bioenvironmental Sciences,
2) Faculty of Agriculture, Kyushu University
1.概要(Summary)
セルロースを高濃度アルカリに浸漬し、水洗、乾燥するという簡便や処理によってマーセル化セルロースは得られる。この際に、その結晶系がセルロースⅠ(結晶格子中の分子鎖が平行鎖)からセルロースⅡ(分子鎖が逆平行鎖)へと固相のまま相転移する。このメカニズムについて、結晶転移のプロセスを追うことで多くの検討がなされてきたが、未だに不明な部分もある。本研究では、マーセル化セルロースの特性の詳細にせまるため、マーセル化条件の異なる試料を調製し、それらの溶液について円二色性測定による検討を行った。
2.実験(Experimental)
超高速HPLC分離・分子構造分析システムの円二色性(CD)測定装置日本分光社製J-1500を用いて、溶液中のセルロース分子鎖の構造について検討した。
① 試料の調製
8.5 wt%NaOHaqに試料(ラミー)を入れ、凍結後、解凍し、5.0 wt%NaOHaqになるよう脱イオン水を加えた。その後、凍結および解凍を10回繰り返し、0.1 wt%cellulose/NaOHaqを調製した。サンプル名については以下の通りである。
H : 加水分解、A : アルカリ処理、dry : 乾燥、neverdry : 未乾燥
上記のアルファベットを処理順序に合わせて、表記した。
② CD測定条件
装置:日本分光社製J-1500
測定波長範囲:180~300 nm(データ間隔:0.1 nm)
温度:24.98℃
走査速度:100 nm/min
3.結果と考察(Results and Discussion)
下図にCD測定結果を示す。 = 220 nm以下において、ノイズが大きいため、分子の高次構造の推定が困難であった。
4.その他・特記事項(Others)
上述のとおり、今回の測定ではセルロース分子鎖のコンフォメーションに関する情報を得るには至らなかった。したがって、この測定に関する下記の発表は行っていない。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし