利用報告書

セルロースナノ結晶の表面処理 (リン酸エステル化)
嶋田 隆一朗
山形大学大学院理工学研究科 物質化学工学専攻

課題番号                :S-20-NU-0046

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :セルロースナノ結晶の表面処理 (リン酸エステル化)

Program Title (English) :

利用者名(日本語)      :嶋田 隆一朗

Username (English)     :R.Shimada

所属名(日本語)        :山形大学大学院理工学研究科 物質化学工学専攻

Affiliation (English)  :

 

 

1.概要(Summary )

各種表面処理を行なったセルロースナノ結晶における置換領域および置換基の形を13C CP/MAS、31P DD/MAS測定を固体NMR (BRUKER社製 AVANCE 300Wbs) によって評価・比較を行う。

 

2.実験(Experimental)

試験管にセルロースナノ結晶、リン酸、尿素、水を加え、電気炉内で140度、1、2、3時間反応させた3サンプルを調整した。この表面処理セルロースナノ結晶を13C CP/MAS測定を行い、未処理のサンプルと比較することで、置換領域を明らかにした。また、31P DD/MAS測定から得られたスペクトルを波形分離することで、リン酸基を形成しているリンの割合を算出した。

利用装置:BRUKER社製 AVANCE 300Wbs

Figure 1. 13C CP/MAS and 31P DD/MAS solid state NMR spectrum of phosphorylated cellulose.

3.結果と考察(Results and Discussion)

13C CP/MAS測定のNMRスペクトルから、セルロースナノ結晶における6位の炭素にリン酸基が導入されていることが明らかになった。さらに、31P DD/MAS測定から,0.3 ppm付近のピークを波形分離することで、目的とするピークが得られた。しかし、10 ppm付近に副生成物に由来するピークも確認された。

 

4.その他・特記事項(Others)

支援者:坂口佳充様、林育生様

未処理のセルロースナノ結晶1サンプル、表面処理を行なったセルロースナノ結晶3サンプルのNMR測定を行なっていただいた。

参考文献

  1. Bozic, M., Liu, P., Mathew, A. P. & Kokol, V. (2014). Enzymatic phosphorylation of cellulose nanofibers to new highly-ions adsorbing, flame-retardant and hydroxyapatite growth induced natural nanoparticles. Cellulose, 21, 2713-2726.

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

嶋田隆一朗, 佐藤亮太, 有田稔彦, 増原陽人*, 「セルロースナノ結晶とハイドロキシアパタイトからなる新規歯科修復材料の作製」, 第68回応用物理学会春季学術講演会 (口頭発表), 2021.03.16

 

6.関連特許(Patent)

なし。

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