利用報告書
課題番号 :S-16-CT-0089
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ゼオライト-活性炭複合体の形態とゼオライト含有率
Program Title (English) :Morphology of Conjunctive Zeolite-Activated Carbon Composite and Content of Zeolite
利用者名(日本語) :奥谷 猛1), 小森陽介2),岡本正行2)
Username (English) :T. Okutani1), Y. Komori2), M. Okamoto2)
所属名(日本語) :1) 籾殻研究センター, 2) 進和テック株式会社
Affiliation (English) :1) Rice Hulls Research Center, 2) Shinwa Technology & Engineering Co.
1.概要(Summary)
籾殻には約20wt%のシリカが表皮細胞外側にあるクチクラ層中に細かく分散した状態で存在している。この点を利用して籾殻中のセルロースなどの有機質から活性炭を、シリカからゼオライト4Aを調製し、活性炭とゼオライトが非常に近接した状態の吸着剤を製造し、水-二酸化炭素を同時に同一吸着剤上に吸着させることができた1)。本研究では、籾殻から調製したゼオライト−活性炭複合吸着剤の形態と吸着剤に含まれるゼオライト含有率を求めた。
2.実験(Experimental)
塩酸中で2h加熱還流して不純物を除去した籾殻をN2気流中500˚Cで1h熱分解し籾殻炭化物(炭素-シリカ複合体)を作製した。籾殻炭化物とH2O、NaOH、Al(OH)3を混合し種結晶として市販合成ゼオライト(東ソー)を加えたものをオートクレーブに充填し、100ºCで4h水熱合成を行った。瀘液がpH9以下になるまで50ºCの蒸留水で吸引瀘過洗浄し、65˚Cで一晩真空乾燥させて得られた粉体をゼオライト-活性炭複合体とした。賦活処理は、複合体約5gをアルミナボートに入れ、N2気流中700ºCで1h加熱して行った。複合体の分析には千歳科技大の粉末X線回折装置(Rigaku, RINT2500)を用いた。CuK線を用い、管電圧40kV、管電流20mA、グラファイトモノクロメーター使用、走査スピード2˚/min、測定角度2θを3˚~70˚、サンプリング幅0.02˚で測定した。複合体中のゼオライト4Aの定量は、内部標準物質として-Fe2O3の(104)ピーク、ゼオライト4A標準物質として東ソー(株)製のゼオライト4Aの(822)ピークと希釈剤として-Al2O3を用いた。XRDは粉末X線回折装置(Rigaku, RINT2500)を用い、CuK線、管電圧40kV、管電流20mA、グラファイトモノクロメーター使用、走査スピード1˚/min、測定角度2θを5˚~35˚、サンプリング幅0.01˚で行った。複合体の形態は千歳科技大のSEM(キーエンス社製、VE-8800)を用い、遊星型ボールミルで調製した市販ゼオライト4Aと籾殻活性炭との混合物と比較した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
賦活前のゼオライト−活性炭複合体には、ゼオライト57.6wt%、炭素35.6wt%、シリカ3.6wt%であった。窒素気流中700˚Cでの賦活後では、ゼオライト46.6wt%、炭素32.6wt%、シリカ3.5wt%であった。活性炭部は賦活を受けるが、ゼオライトの一部はNaAlSiO4に構造が変化したものと考えられる。Figにはゼオライト-活性炭複合体と市販ゼオライト-籾殻活性炭混合物のSEM写真を示した。複合体ではゼオライト結晶は活性炭に埋まり、相互作用が期待できるが、混合物ではゼオライト、活性炭は別個に存在していた。
4.その他・特記事項(Others)
1) T. Okutani, T. Utsumi, M. Ohnishi, Proceedings of 42nd International Conference on Environmental System. AIAA 2012-3429.
・謝辞 測定についてご協力いただいた千歳科学技術大学の河野敬一先生と山﨑郁乃技術員に謝意の意を表します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







