利用報告書
課題番号 :S-20-NI-0029
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :ナノカーボン材料の微細構造観察
Program Title (English) :Microstructure observation of nanocarbon materials
利用者名(日本語) :Kamal P. Sharma1), 浅香透2), 丸山隆浩1,3)
Username (English) :Kamal P. Sharma1), T. Asaka2), T. Maruyama1, 3)
所属名(日本語) :1) 名城大学ナノマテリアル研究センター, 2) 名古屋工業大学大学院, 3) 名城大学理工学部
Affiliation (English) :1) Nanomaterials Rsearch Center, Meijo University, 2) Nagoya Institute of Technology, 3) Department of Applied Chemistry, Meijo University
1.概要(Summary )
グラフェンは,厚さが原子1個分であるため,高い電子線の透過率を有する。そのため,高分解能透過電子顕微鏡(TEM)観察用のグリッド膜として用いられている。しかし,従来のグラフェンTEMグリッドの作製法では,化学気相成長(CVD)法などで作製したグラフェンを転写する必要があった。本研究では,アモルファスカーボン膜に金属プラズマを照射することで,簡便にグラフェン膜を形成できることを見出した。
2.実験(Experimental)
厚さ20-25 nmのアモルファスカーボン膜TEMグリッド(応研商事)に対し,パルスアークプラズマガンを用いて,Coプラズマを照射した。その後,TEM観察およびラマン分光測定により,評価を行った。TEM観察は日本電子のJEM ARM 200Fを用い,ラマン分光測定は,ナノフォトン社のRamanForceにより励起波長532 nmで行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1(a)にCoプラズマを3パルス照射したときのアモルファスカーボンのラマンスペクトルを,また,(b)にG/D比と2D/G比,およびその半値幅を示す。140V以上で照射したとき,明瞭なGバンドピークが観測され,グラファイト化が進んでいることがわかった。図1(c)から(f)に170VでCoプラズマを照射した膜のTTEM像とその回折像を示す。(f)に示すように一部にCo粒子が存在したが,触媒粒子の存在は非常に少なく(図1(c)),また,(d)の回折像や(g)の層間距離の結果から,ほぼ全体がグラフェン化していることが確認できた。
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は,私立大学研究ブランディング事業“新規ナノ材料の開拓と創製による名城大ブランド構築プログラム”の支援を受けました。TEM観察では,名工大 浅香 透 准教授にお世話になりました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K. Sharma, A.K. Sharma, T. Asaka, T. Maruyama, ACS Appl. Nano Mater.,Vol.4(2021)p.p.1485-1494.
(2) K. Sharma, A.K. Sharma, D. Yamamoto, T. Asaka, T. Maruyama, 応用物理学会第68回春季学術講演会, 令和3年3月17日
(2) K. Sharma, A.K. Sharma, D. Yamamoto, T. Asaka, T. Maruyama, 第60回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム, 令和3年3月3日
6.関連特許(Patent)
なし