利用報告書
課題番号 :S-17-OS-0034
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ナノセルロース由来炭素材料のデバイス応用に向けた構造解析
Program Title (English) :Structural Analysis of Wood Nanocellulose-Derived Carbon Materials for Device Applications
利用者名(日本語) :古賀大尚, 泉泰葉
Username (English) :H. Koga, Y. Izumi
所属名(日本語) :大阪大学, 産業科学研究所, セルロースナノファイバー材料研究分野
Affiliation (English) :Laboratory of Cellulose Nanofiber Materials, The Institute of Scientific and
Industrial Research, Osaka University
キーワード/Keyword :ナノセルロース, ナノカーボン, レーザーラマン顕微鏡/Nanocellulose, Nanocarbon, Laser Raman
1.概要(Summary)
我々は、木材ナノセルロースを炭化して得られる新規カーボンナノファイバーのスーパーキャパシタ・センサデバイス応用を目指している。そのためには、上記カーボンナノファイバーの構造(グラファイト構造やその乱れ)解析に基づき、デバイス特性の理解を進める必要がある。そこで本研究では、レーザーラマン顕微鏡を用いて、炭化ナノセルロース由来のカーボンナノファイバーの構造解析を行った。その結果、従来ナノカーボンと比べて欠陥の多いカーボン構造をとっていることが示唆された。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
S19 レーザーラマン顕微鏡(ナノフォトン, RAMAN-touch)
【実験方法】
まず、針葉樹クラフトパルプを機械処理し、幅15-50 nm程度のナノセルロース繊維を得た。次に、得られたナノセルロースを紙に成型した後、窒素雰囲気下・600°C・1時間の条件で炭化処理を施した。その炭化サンプルについて、レーザーラマン顕微鏡による構造解析を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
ラマン解析の結果、ナノセルロースを600°Cで処理すると、1580 cm-1にG band(グラフェン・sp2由来)、および、1350 cm-1にD band(欠陥・sp3由来)が確認された(Figure 1)。従来ナノカーボンと比べて欠陥の多いカーボン構造を形成していると推察される。今後は、この特徴的な欠陥構造を活かしたデバイス応用を目指していく予定である。
Figure 1 Raman spectra of original nanocellulose and carbonized nanocellulose at 600°C.
4.その他・特記事項(Others)
【謝辞】
本研究の一部は、「物質・デバイス領域共同研究拠点:人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンスにおける共同研究「CORE ラボ」」、および、日本学術振興会・科学研究費助成事業・若手研究(A)(No. A15H05627)の支援を受けました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。