利用報告書

ナノ材料/高分子複合材の実用化開発
新原健一1)
1) 株式会社富山環境整備

課題番号 :S-19-SH-0005
利用形態 :共同研究型支援
利用課題名(日本語) :ナノ材料/高分子複合材の実用化開発
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :新原健一1)
Username (English) :K. Niihara1)
所属名(日本語) :1) 株式会社富山環境整備
Affiliation (English) :1) Toyama Kankyouseibi, Co., Ltd.

1.概要(Summary )
セルロースナノファイバー(CNF)またはカーボンナノチューブ(CNT)による廃棄プラスチックの高機能化、高性能化を目指し、複合化技術開発と材料特性の評価を行った。昨年度まで実施してきたバージンプラスチックへの複合化技術を廃棄プラスチックへ適用し特性評価、構造観察を実施した。得られた複合体中でのCNFの解繊状態、分散状態を評価するために当該プラットフォーム共通利用分析装置を使用した。

2.実験(Experimental)
TOCN水分散液と凝集抑制剤、溶媒置換剤を混合し脱水し、粉状の中間体を作製した。このとき凝集抑制剤を種々選択し、中間体を数水準準備した。準備した中間体とCNTを加熱混練り機(ナノコンポジット作製装置群)にて廃棄プラスチックへ複合化した。得られた複合体の凍結割断面を走査型電子顕微鏡(SEM:SU8000)にて観察し、熱可塑性樹脂中でのCNFおよびCNTの解繊状態、分散状態を評価した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
昨年度開発した方法により廃棄プラスチックへCNFを複合化することに成功した。得られた廃棄プラスチック/CNF/CNT複合体の割断面SEM観察結果をFig.1に示す。割断面中において、TOCNの凝集物は確認されなかった。また、白い繊維状に観察できる物質はCNTであり、CNTも凝集することなく、廃棄プラスチック中へ解繊、分散できていることが確認できた。
得られた複合体の機械特性を評価したところ、補強されていない材料と比較して、弾性率、降伏応力の向上が確認できた。
開発した材料の基礎評価と並行して実用化可能性の検証を行った。具体的にはブロー成型による農業用プラスチック製ポット、農業用吸水性シートの試作を行っている。

Fig.1 SEM image of CNF/CNT/recycled PE composite.

4.その他・特記事項(Others)
謝辞:本研究は農研機構生研支援センター「「知」の集積と活用の場による革新的技術創造促進事業(異分野融合発展研究)」の支援を受けて行った。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K. Niihara et.al., 第68回高分子学会年次大会、2019年5月31日
(2) K. Katagiri et. al., 2019年繊維学会年次大会、2019年6月5日
(3) K. Niihara et.al.,2019年繊維学会秋季研究発表会、2019年11月9日

6.関連特許(Patent)
なし

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