利用報告書
課題番号 :S-15-KU-0019
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ナノ空間制御によるアニオン型PEFC高効率化
Program Title (English) :Development of Anion-type PEFC by controlling nano-space
利用者名(日本語) :永山 まゆみ, 楊 紅梅, 林 灯
Username (English) :M. Nagayama, H. Yang, A. Hayashi
所属名(日本語) :九州大学
Affiliation (English) :Kyushu University
1.概要(Summary )
現在普及しつつあるプロトン型燃料電池では、貴金属である高価な白金を触媒として用いる必要があるために、低コスト化が困難と言われている。その代替としてアニオン型燃料電池が注目されている。アニオン型燃料電池では、安価な金属やカーボンそのものもを電極触媒として利用できる可能性があるからである。安価、高効率なアニオン型燃料電池の開発に向けて、カーボンのナノ構造を制御した電極触媒の研究を行った、主に、電極触媒を作成し、その性能評価を行った。その中で、電極触媒の材料解析を、ナノテクPF支援を利用した。
2.実験(Experimental)
電子状態測定システムを用いて、窒素をドープしたカーボンの材料解析、特に窒素の結合エネルギーを解析した。電子状態測定システムはいわゆるX線光電子分光測定(XPS)であり、コア電子のエネルギーを測定することが可能である。
3.結果と考察(Results and Discussion)
窒素ドープカーボンの合成条件(前駆体合成比および熱処理温度)の異なる試料それぞれのN 1sピーク(400 eV付近)の測定をNarrow scanで行った。その結果、試料ごとに、窒素含有量や窒素の結合エネルギー(結合状態)が異なることが明らかとなった。ここで得られたN 1sピークのピーク面積から窒素の含有量を算出し、また、N 1sピークの位置から結合状態を見積もり、これらのデータと別途電気化学測定により行った電極触媒性能(ここでは酸素還元活性)との相関性を検討した。
更なるデータ蓄積が必要であるものの、前駆体合成比および熱処理温度が窒素含有量や窒素の結合エネルギー(結合状態)を決定する重要なパラメータであり、さらに、電極触媒性能(ここでは酸素還元活性)とのある程度の相関性は明らかになってきた。
本研究内容は、現在世界中で盛んに検討されており、今後さらなる詳細な比較により、重要な知見を与えられることが大いに期待できる。電子状態測定システムにH27年度末に新たに装備した加熱装置により、装置内で熱処理を行うことが可能になった。同一試料の加熱経時変化をモニターできるため、さらに正確性の高い測定が可能になると期待している。今後も引き続き利用し、データを蓄積していく予定である。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:JST-ALCA「ナノ空間制御によるアニオン型PEFC高効率化」により実施した。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
該当無し
6.関連特許(Patent)
該当無し







