利用報告書
課題番号 :S-15-OS-0047
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :ナノ電極を利用したDNA損傷計測
Program Title (English) :DNA Damage Measurement Using Nanoelectrode
利用者名(日本語) :岡 壽崇
Username (English) :T. Oka
所属名(日本語) :東北大学 高度教養教育・学生支援機構
Affiliation (English) :Institute for Excellence in Higher Education, Tohoku University
1.概要(Summary)
放射線による生物影響の主要な要因の1つとされるDNA損傷は、従来、電気泳動法などの生化学的手法で評価されてきた。しかし、DNAの損傷が比較的近くで形成するクラスター損傷を精確に検出できないという問題があった。本研究ではDNA分子のコンフォメーション変化を顕微鏡し、電気的特性の変化を測定するためのナノ電極を作製し、これを用いることでDNA損傷の新しい評価法の確立を目指している。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
有機薄膜形成装置、リアクティブイオンエッチング装置
【実験方法】
昨年までに、Si基板上にLED描画システムを用いてAuの引き出し電極を作製し、電子ビームリソグラフィ装置を利用して中心部に向かって数m幅の電極を重ね描画したナノチップを作製した。本年度は薄膜形成装置で薄膜を蒸着し、適宜エッチングを行った。さらに本ナノチップにプラスミドDNA水溶液を滴下し、光学顕微鏡や原子間力顕微鏡(AFM)を用いて形状を観察した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
作製したナノチップの表面が撥水性だとDNA水溶液が基板上に分散しないため、まず、Figure1のチップ作製後に酸素プラズマ発生装置で加工体表面を親水化した。また、これまでの研究でDNA抽出から滴下までの期間が長いとDNAが凝集してしまうことが予想されたため、滴下直前にDNAを抽出した。このDNAを含む水溶液をナノチップに滴下して光学顕微鏡で観察したところ凝集体のようなものが確認できたので、さらにAFMで凝集体付近の2 mから20 m四方の領域をさまざまな条件で走査して凹凸像を取得したが、昨年同様の凝集体あるいは不純物のような固まりが観察されただけであった。
この結果から、DNAの抽出から滴下までの期間ではなく、DNA水溶液に微細な不純物が混入している可能性が高いこと、そしてDNAのリン酸基とナノチップ表面のSiO2層との親和性が低いことが、DNA像が取得できない原因であるとわかった。そこで、今後はこれまでよりも細かいメッシュを利用するなどして不純物を可能な限り除去し、表面が負に帯電しておりリン酸基との親和性が比較的高いマイカを基板として利用して研究を進める予定である。
4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は「物質・デバイス領域共同研究拠点における共同研究」の支援を受けて実施されました。また、大阪大学ナノテクノロジー設備供用拠点の柏倉 美紀氏、樋口宏二氏、法澤公寛氏、北島 彰氏に感謝いたします。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







