利用報告書

バクテリア光センサーのアンテナ分子に関する研究
高野英晃
日本大学生物資源科学部

課題番号 :S-16-MS-1002
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :バクテリア光センサーのアンテナ分子に関する研究
Program Title (English) :Study on antenna of bacterial photosensor
利用者名(日本語) :高野英晃
Username (English) :H. Takano
所属名(日本語) :日本大学生物資源科学部
Affiliation (English) :College of Bioresource Sciences, Nihon University

1.概要(Summary )
LitRはDNA結合ドメインとアンテナ分子結合ドメインを有する転写調節蛋白質であり、広範なバクテリアにおいて主にカロテノイド色素合成遺伝子の光誘導性転写制御に関わる新規な光センサー蛋白質である。LitRはアンテナ分子結合ドメインのアミノ酸配列に基づき、クラスI~Vに分類される。クラスIのLitRはビタミンB12をアンテナ分子として利用することが明らかになっている一方、他のクラスのLitRが要求するアンテナ分子に関しては不明な点が多い。また、ゲノム情報の蓄積により、MarRファミリーに属する新たな光センサー型転写調節因子LimRの存在も見出している。これらに隣接する遺伝子群の転写レベルは、光照射によって極めて強く誘導されることを確認しているが、それらのアンテナ分子の化学的な同定には至っていない。そこで、本研究では、遺伝生化学的な解析より予想されたアンテナの候補分子とLitRおよびLimRファミリーの相互作用を解析することで、光センサーとしての証明を目的とした。

2.実験(Experimental)
熱分析システムであるIsothermal Titration Calorimetry(MicroCal iTC200)を用いて、各種バクテリアに由来するLitRおよびLimR組換え蛋白質とクロモフォアの相互作用解析を実施した。組換え蛋白質は大腸菌で大量発現させ、高純度に精製したものを用いた。なお、アンテナ分子には、市販されている既知の光感知物質ならびに生化学実験から予想された候補化合物を用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
クラスIIIおよびクラスIV LitRとアンテナの候補分子の相互作用を解析した。その結果、既知の光アンテナ分子とは相互作用を示さなかった。また、LimRについても同様の解析を実施したところ、既知の光アンテナ分子との相互作用は確認されなかったこと。これらのことから、今回対象とした蛋白質は新しい光センサー型転写調節因子であると予想された。これらの情報は、今後のアンテナ分子のスクリーニング方法を計画・実施する上で、極めて重要な参考情報である。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 角悟、高野(白鳥)初美、上田賢志、高野英晃, 日本ゲノム微生物学会2016年度大会, 平成29年3月3日
(2) 角悟、西山辰也、高野(白鳥)初美、上田賢志、高野英晃, 日本農芸化学2017年度大会, 平成29年3月19日
(3) 小林暢、上田賢志、高野英晃, 日本農芸化学2017年度大会, 平成29年3月19日

6.関連特許(Patent)
なし

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