利用報告書

バクテリア光センサータンパク質群の機能解析
髙野英晃
日本大学生物資源科学部

課題番号 :S-19-MS-1001
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :バクテリア光センサータンパク質群の機能解析
Program Title (English) :Functional analysis of bacterial photosensor
利用者名(日本語) :髙野英晃
Username (English) :H. Takano
所属名(日本語) :日本大学生物資源科学部
Affiliation (English) :College of Bioresource Sciences, Nihon University

1.概要(Summary )
LitRはDNA結合ドメインとアンテナ分子結合ドメインを有する転写調節タンパク質であり、広範なバクテリアにおいて主にカロテノイド色素生産の光誘導性転写制御に関わる新規な光センサータンパク質である。LitRはアンテナ分子結合ドメインのアミノ酸配列に基づき、クラスIからVに分類され、クラスI LitRはアンテナ分子としてビタミンB12を利用する新しい光センサーであることが明らかになっている。また、シュードモナス属細菌由来のクラスII LitRはフラビン型青色光センサーLOVタンパク質と相互作用すること、バークホルデリア由来のクラスIII LitRはUVAセンサーとして働くことを我々の研究によってごく最近明らかにした。一方、クラスIVとV LitRは従来型のクロモフォアを利用せず、いまだそのアンテナ分子は不明である。また、比較ゲノム解析などによって別のMarRファミリーに属する光センサー候補タンパク質も見出している。本研究では等温滴定型カロリメトリーMicroCal iTC200を用いて、光センサー候補タンパク質群と光アンテナ分子間の相互作用解析を実施することで光アンテナ分子を同定し、新規な光センシング機構を明らかにすることを目的とした。

2.実験(Experimental)
光センサー候補組換えタンパク質(クラスIVとV LitR、MarRタイプ)を大腸菌において大量発現させ、アフィニティーカラムクロマトグラフィーを用いて高純度に精製した。リガンドにはクロモフォアと成り得る各種化合物を用いた。
滴定型シリンジ側:発色団と成り得る各種化合物(高純度な標品)
セル側: 高純度な組換えタンパク質
等温滴定型カロリメトリーMicroCal iTC200を用いて相互作用を解析した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
本研究で解析対象とした光センサー候補組換えタンパク質群のいずれにおいても、従来型の光アンテナ分子群との相互作用は確認されなかった。精製組換えタンパク質が活性を有していないため、相互作用が認められなかった可能性も考えられるが、光センサー候補群は新規な光センサーとして働くことが示唆された。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Light-inducible carotenoid production controlled by a MarR-type regulator in Corynebacterium glutamicum, S. Sumi, Y. Suzuki, T. Matsuki, T. Yamamoto, Y. Tsuruta, K. Mise, T. Kawamura, Y. Ito, Y. Shimada, E. Watanabe, S. Watanabe, M. Toriyabe, H. Takano (Shiratori), K. Ueda, H. Takano,
Scientific Reports, 9:13136 (2019)

6.関連特許(Patent)
なし

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