利用報告書
課題番号 :S-19-MS-1002
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :パルスEPR法を用いた一重項分裂により生じる五重項状態の構造に関する研究
Program Title (English) :Pulse EPR study on the structure of the quintet state triplet pair generated by singlet fission.
利用者名(日本語) :長嶋宏樹1,2), 増澤健太2) 立野明宏2)
Username (English) :H. Nagashima1,2), K. Masuzawa2) A. Tateno2)
所属名(日本語) :1) 神戸大学分子フォトサイエンス研究センター, 2) 埼玉大学
Affiliation (English) :1) Molecular Photoscience Research Center, Kobe University, 2) Department of Chemistry, Graduate School of Science, Saitama University
1.概要(Summary )
一つの励起子から二つの三重項状態を形成するシングレットフィッション材料において、電子スピン共鳴法による五重項状態(三重項ペア)の検出及びその構造解析に取り組んだ。
任意波形ジェネレーター(AWG), レーザー、及びAWGを利用した光反応制御、収量検出磁気共鳴(RYDMR)法の実験を行った。
2.実験(Experimental)
合成及び購入したシングレットフィッション材料の溶液をESR試料管に挿入したのち、真空ラインを利用して10-1Paオーダーまで減圧し、freeze-pump-thawサイクルにより酸素を取り除いた。
電子スピン共鳴装置(E680)およびレーザーを使用し、シングレットフィッション材料を532 nmの可視光で励起し、その直後の光反応を時間分解EPR及びパルスEPR法を用いて計測した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
本研究においては新たに導入された30 Hzのナノ秒レーザーを利用して計測した。従来の実験では10 Hzのものを使用して1時間程度かかっていた時間分解ESR計測が、ほぼ1/3の時間で計測できた。
シングレットフィッション材料において ESR信号について、スペクトルシミュレーションによりスピン軌道相互作用により生成した三重項及びシングレットフィッションにより形成された三重項ペアの信号として帰属した。構造解析及びスピン分極形成機構について、明らかにするためにスペクトルシミュレーション(1)によるフィッティングに取り組んでいる。
RYDMR法の開発においては、まず、AWGの性能をテストするために、開発した任意波形を入力し、検出器において検出された波形を取得して比較した。装置関数のために若干の歪みが観測された。今後、AWGを利用した光反応制御をするために、装置関数を考慮に入れた波形の設計が重要であることを確認した。
4.その他・特記事項(Others)
(参考文献)
(1) Y. Matsui, S. Kawaoka, H. Nagashima, T. Nakagawa, N. Okamura, T. Ogaki, E. Ohta, S. Akimoto, A. Sato-Tomita, S. Yagi, Y. Kobori and H. Ikeda, Exergonic intramolecular singlet fission of an adamantane-linked tetracene dyad via twin quintet multiexcitons, J. Phys. Chem. C, (2019), 123, 18813-18823.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(学会発表)
(1) H. Nagashima et al., 電子スピンサイエンス学会年会, 令和1年 11月7日
(2) H. Nagashima et al., The 60th Rocky Mountain Conference, 令和1年7月23日
(3) 長嶋宏樹、三野広幸、第3回QST国際シンポジウム
令和1年12月4日
6.関連特許(Patent)
なし







