利用報告書

ビスマス系超伝導薄膜の断面TEM像の観察と解析
毛利 存
熊本高等専門学校機械知能システム工学科

課題番号 :S-16-JI-0021
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ビスマス系超伝導薄膜の断面TEM像の観察と解析
Program Title (English) :TEM observation of Bi superconducting thin film
利用者名(日本語) :毛利 存
Username (English) :Zon Mori
所属名(日本語) :熊本高等専門学校機械知能システム工学科
Affiliation (English) :NIT Kumamoto college

1.概要(Summary )
高い転移温度を有するビスマス(Bi)系超伝導薄膜を作製した.X線回折からはこの薄膜は単相で,基板上に配向していることが分かっているが,その配向の状況や格子欠陥の有無は所有装置では解析できない.そのため,透過型電子顕微鏡により試料断面を原子レベルで観察し,薄膜の品質評価を行った.

2.実験(Experimental)
 透過型電子顕微鏡H-9000NARを利用した.TEM試料作製に当たっては,収束イオンビーム加工装置SMI-3050により薄膜試料を薄片化した.

3.結果と考察(Results and Discussion)
 これまでのところ2種類のサンプルについて観察した.SEM観察によりいずれも結晶がうろこ状に成長していることが分かった.うろこ部分の断面を観察した例を図1に示す.結晶は層状であり,基板から3段階で成長している様子が見られた.また各層の端面は極めて平滑である.これらのことは,Bi系に特有な結晶成長様式が存在することを示唆している.

図1 Bi系超伝導薄膜の断面TEM像
図1の基板付近の拡大図(図2)では,結晶が層状に成長している様子が確認できた.これらの間隔や,電子線回折像から格子定数を算出したところ,2223と呼ばれる結晶が主であることが分かった.しかしながら基板に近い部分(写真の下側)で縦方向の間隔が短くなっており,異なる結晶(2212又は2201)が存在していることが確認された.

図2 図1の基板付近の拡大図

4.その他・特記事項(Others)
本研究は北陸先端科学技術大学院大学応用物理学領域大島義文准教授,ナノマテリアルテクノロジーセンター技術職員東嶺孝一氏,産学官連携研究員伊藤真弓氏にご助力いただいた.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
観察結果を5月の第73回日本顕微鏡学会で伊藤氏が発表予定.その他論文等でも公表する予定である.

6.関連特許(Patent)
なし

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