課題番号 ：S-13-NU-0018
利用形態 ：技術代行
利用課題名（日本語） ：フェノール樹脂バインダーのナノ構造の解明
Program Title (English) ：The elucidation of the nano structure of the phenolic resin binder for molds
利用者名（日本語） ： 千田芳也1)
Username (English) ： Y. Senda1)
所属名（日本語） ：1) 旭有機材工業株式会社
Affiliation (English) ：1) Asahi Organic Chemicals Industry, Co., Ltd.

１．概要（Summary ）
近年、核磁気共鳴分光器の高性能化により、プラスチック等の高次構造の解析が試みられている。人工的に合成されたプラスチックの中で、最も古いフェノール樹脂の高次構造は、未だ充分に解明されていない。フェノール樹脂の更なる高機能化のためには、フェノール樹脂のナノ構造を明らかにすることは、複合材料バインダーの開発の上で重要である。本検討では、フェノール樹脂の骨格の結合様式を確認するために、　13 C-NMRを用いてフェノール樹脂の結合様式を推測した。

２．実験（Experimental）
2-1.フェノール樹脂の合成
還流器、温度計および攪拌機を備えた三口反応フラスコ内に、フェノールの100質量部、92質量%パラホルムアルデヒドの55.5質量部および2価金属塩としてナフテン酸鉛の0.32質量部を仕込み、還流温度で90分間反応を行った後、加熱濃縮して、水分含有率1%以下のベンジルエーテル型フェノール樹脂を得た。

2-2.構造解析
　13C-NMR測定用試料は、重クロロホルム溶媒を用いてフェノール樹脂用液を調整後、NMRサンプルチューブに収め測定した。
　測定は、Varian社製 核磁気共鳴分光装置OXFORD500（名古屋大学 自己組織化ナノ超構造の組成解析装置群）を用いて測定した。

３．結果と考察（Results and Discussion）
13C-NMR測定結果を表1に示した。

表1．13C-NMR測定結果
Structure ppm

A)
Aryl methylene a)
o,o-Ph-CH2-Ph δ 30.0
b)
o,p-Ph-CH2-Ph δ 35.8
c)
p,p-Ph-CH2-Ph δ 40.6
B)
Methylol p-Ph-CH2OH δ 64.7
C)
Methylene ether p-Ph-CH2-O-CH2-Ph
o-Ph-CH2-O-CH2-Ph δ 72-73
δ 69.1

　13C-NMR測定の結果、ケミカルシフトを確認することにより、フェノール樹脂のフェノール同士の結合種を確認することができた。

４．その他・特記事項（Others）
本研究の機器利用にあたり、名古屋大学工学部機器分析室 近藤一元先生、林育生先生に御支援いただきました。厚く御礼申し上げます。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
なし。

６．関連特許（Patent）
なし。