利用報告書

フォトルミノクロミズムを示すジアリールエテン配位錯体の開発
服部陽平
龍谷大学先端理工学部応用化学課程

課題番号 :S-20-NR-0026
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :フォトルミノクロミズムを示すジアリールエテン配位錯体の開発
Program Title (English) :Development of photoluminochromic diarylethene coordinated complexes
利用者名(日本語) :服部陽平
Username (English) :Y. Hattori
所属名(日本語) :龍谷大学先端理工学部応用化学課程
Affiliation (English) :Faculty of Advanced Science and Technology, Ryukoku University

1.概要(Summary)
ジアリールエテンは光によって2つの異性体間を行き来して色を変えるフォトクロミズムを示す化合物として知られており、様々な応用がされている(参考文献1)。一方、発光金属錯体の中には結晶形によって発光色を様々に変えるものが知られている(参考文献2)。利用者はジアリールエテンを発光金属錯体と組み合わせることによって、光によって結晶形をスイッチすることで発光色が変化する結晶フォトルミノクロミズムを示す錯体化合物を開発し、デバイスに応用することを目指している。

2.実験(Experimental)
質量分析装置(MALDI-Spiral-TOF-MS JEOL-JMS-S3000, MALDI-TOF-MS Bruker autoflexII, 二重収束型質量分析計JEOL-JMS-700Mstation)を用いて高分解能質量分析(HRMS)を行い利用者が新規に合成した化合物のキャラクタリゼーションを行った。また、十分な量があるサンプルについては全自動元素分析装置PerkinElmer-2400II CHNS/Oによる元素分析を行い、キャラクタリゼーションを行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
JEOL-JMS-700Mstationを用いた高分解能質量分析の結果を3例示す。
HRMS(EI) m/z:[M]+ Calcd for C9H8N2O 160.0637; Found 160.0636.
HRMS(EI) m/z:[M]+ Calcd for C9H7BrN2O 237.9742; Found 237.9737.
HRMS(EI) m/z:[M]+ Calcd for C24H15F6N3O2 491.1068; Found 491.1069.

PerkinElmer-2400II CHNS/Oによる元素分析の結果を1例示す。
Elem. Anal. Calcd for C9H8N2O: C 67.49, H 5.03, N 17.49; Found C 67.21, H 4.75, N 17.29.

4.その他・特記事項(Others)
(参考文献1)M. Irie, T. Fukaminato, K. Matsuda, S. Kobatake, Chem. Rev. 2014, 114, 12174.
(参考文献2)T. Seki, T. Ozaki, T. Ohkura, K. Asakura, A. Sakon, A. Uekusa, H. Ito, Chem. Sci. 2015, 6, 2187.

本研究は、JSPS科研費JP20K15304の助成を受けたものです。

測定を行った西川嘉子様、山垣美恵子様、淺野間文夫様、片尾昇平様に厚く御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
服部 陽平, 椿 隼典, 松岡 亮太, 草本 哲郎, 内田 欣吾, 日本化学会 第101春季年会 (2021), 令和3年3月20日.

6.関連特許(Patent)
なし。

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