利用報告書
課題番号 :S-20-NR-00011
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :フラン樹脂由来活性炭の表面構造と電気二重層キャパシタ特性の研究
Program Title (English) :Structural Analysis of Furfural Resin-Based Active Carbon to Control Electric Double Layer Capacitor
利用者名(日本語) :帆苅奏1), 林藤壮史1), 成本夏輝1), 菊池祥一朗1), 齊藤丈靖1)
Username (English) :K. Hokari1), M. Rindo1), N. Narumoto1), S. Kikuchi1), T. Saito1)
所属名(日本語) :1) 大阪府立大学大学院 工学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University
1.概要(Summary)
電気二重層キャパシタ(Electric Double Layer Capacitor, EDLC)は電極と電解質界面に生じる電気二重層を利用したコンデンサである。高出力・高い耐久性が魅力であるが、エネルギー密度が低い課題があるためEDLC容量の増大による向上を目指した。EDLC容量に影響する活性炭特性には、比表面積、細孔径分布、表面化学構造などがある。比表面積や細孔径分布とEDLC容量に関する報告は多いが、表面化学構造についての報告は少ない。ほぼ同等の比表面積では酸性表面官能基量とEDLC容量に相関があった。本研究では熱硬化性樹脂であるフラン樹脂を前駆体に用い、800℃のKOH賦活で作製した活性炭を各種酸化剤で表面修飾することで意図的に酸性官能基量を変化させ、EDLC容量との関係を考察した。
本申請では、活性炭を各種条件で表面修飾した際の表面化学構造をX線光電子分光(XPS)で評価した。
2.実験(Experimental)
炭化したフラン樹脂を800℃、保持時間0分でKOH賦活した活性炭に対して4種類の酸化剤(H2O2, HNO3, KMnO4, 混酸)で処理後、XPS測定で得られたC1sスペクトルを解析した。
利用装置:XPS
3.結果と考察(Results and Discussion)
表1にC1sスペクトルのピーク分離による各結合の比率を示す。酸処理後、C=O結合の割合が10.3%から2%程度まで減少し、O=C-O結合の割合は21.2%から増加し混酸処理の場合は32%まで増加した。これは酸処理によりC=O結合のピークを有するアルデヒド基やケトンがO=C-O結合のピークを有するカルボキシル基に変化したことを示唆している。また、インピーダンス測定による電荷移動抵抗値は、90 Ω (酸処理なし)、72 Ω (H2O2処理)、75 Ω (HNO3処理)、53 Ω (KMnO4処理)、25 Ω (混酸処理)の順で小さくなった。O=C-O結合の割合が最も増加した混酸処理のサンプルで最小の抵抗値が得られたことから酸性官能基の中でも特にカルボキシル基と電荷移動抵抗間に相関がある可能性が示唆される。
表1 活性炭のC1sスペクトルピーク分離結果
4.その他・特記事項(Others)
NAISTの技術職員 岡島康雄様に感謝致します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) K. Hokari, S. Suzuki, N. Okamoto, T. Saito, I. Ide, M. Nishikawa, Y. Onishi, Electrochemistry, Vol. 88(2020)p.p.127-131.
(2) K. Hokari, アメリカ電気化学会PRiME 2020, 令和2年10月5日
6.関連特許(Patent)
なし。