利用報告書
課題番号 : S-19-MS-1100
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :フラーレン包接白金ポルフィリン錯体の精密結晶構造解析とロジウムージオキソレン錯体の原子価状態の解明
Program Title (English) :Precise Crystal Structure Analysis of Fullerene Included Platinum Porphyrin Complex and Elucidation of Valence State of Rhodium-Dioxolene Complex
利用者名(日本語) :満身 稔
Username (English) :M. Mitsumi
所属名(日本語) :岡山理科大学理学部
Affiliation (English) :Faculty of Science, Okayama University of Science
1.概要(Summary )
①フラーレン包接白金ポルフィリン錯体の精密結晶構造解析:我々は,光エネルギーの変換が可能な光電荷分離システムの開発を目指して,アクセプター包接多孔性金属ポルフィリン錯体の合成を行なっている.研究対象とするフラーレン包接白金ポルフィリン錯体 [Pt(F20TPP)]3·2C60·12PhMe (1a)の150 Kでの結晶構造解析では,C60はポルフィリン3分子と,ポルフィリンは2分子のC60と接しており,ハニカム状の二次元相互作用をもつことを明らかにしている.しかしながら,C60が熱的に動いており,C60の構造をきちんと決めることができていない.そこで,30 Kの低温でC60の動きを抑えて反射データを収集し,1aの精密結晶構造解析を行うことを目的とした.
②ロジウムージオキソレン錯体の原子価状態の解明:
近年,伝導性,磁性,誘電性,光物性などの物性の多重機能性を示す分子性物質の開発が注目されている.我々は,多重機能性の発現のために利用できる配位子として,金属イオンとの酸化還元が可能なジオキソレンを用いて,一次元ロジウム−ジオキソレン錯体の合成と物性評価を行なっている.本研究では,ロジウム錯体分子がRh–Rh相互作用で繋がったロジウム−ジオキソレン錯体四量体[Rh(3,6-DBSQ-4,5-S2C=O)(CO)2]4 (2)とこの四量体が一次元鎖状につながった一次元ロジウム−ジオキソレン錯体{[Rh(3,6-DBSQ-4,5-S2C=O)(CO)2]4·hexane}∞ (3)について,金属ー配位子間電荷移動による混合原子価状態の生成を調べるために,XPSスペクトルを調べた.
2.実験(Experimental)
①極微小結晶用単結晶X線回折装置 (Rigaku 社製 HyPix-AFC)を用いて反射データ収集を行った.②X線光電子分光装置Omicron EA-125を使用して,ロジウム−ジオキソレン錯体2, 3のXPSスペクトルを一次元ロジウム(I)錯体[Rh(3,6-DBSQ)(CO)2]∞ (4)とともに測定した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
①結晶化中の試験管を10本準備し,反射データ測定によるスクリーニングを行ったところ,今回の測定のために持ち込んだ結晶試料の中に1aは含まれていなかった.そこで,このとき得られた黒色針状結晶について,N2吹付低温装置で150Kに冷却し,反射データ収集を行った.現在,解析を行なっている.結晶学データ:hexagonal, P63, a = 23.8180(7) Å, 10.0464(4) Å, V = 4935.8(3) Å3.
② 四量体2と一次元錯体3のRh 3dのXPSスペクトルは,ロジウム(I)錯体4と比べて明らかに半値幅が大きく,これらの錯体がロジウム(I,II)–セミキノナト/カテコラト錯体であることを明らかにした.現在,ピーク分割を行いRh+, Rh2+の存在比を求めている.
図1.一次元錯体3のRh 3dのXPSスペクトル.
4.その他・特記事項(Others)
なし.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.
6.関連特許(Patent)
なし.







