利用報告書
課題番号 :S-19-MS-3002
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :フラーレン誘導体LB薄膜の表面観察と評価
Program Title (English) :Surface observation and characterization of LB films of fullerene derivatives
利用者名(日本語) :日野和之1)
Username (English) :K. Hino1)
所属名(日本語) :1) 愛知教育大学教育学部
Affiliation (English) :1) Aichi University of Education
1.概要(Summary )
フラーレンを基板に1層から数層堆積させた薄膜は、電子デバイスや光学材料としての利用をはじめ、潤滑性能等の力学的特徴を生かした応用等も含む、多彩な用途での利用が検討されている。しかしフラーレンは成膜の際に凝集しやすく、またその整列・配向の制御も困難であり、品質の安定性の確保や、性能発現機構の詳細な検討は不充分であった。そこで我々は、両親媒性のフラーレン誘導体である「硫酸化フラーレン」を合成し、この分子が気液界面に単分子膜を形成する性質を利用して、LB法により、ガラスまたはITO基板上に硫酸化フラーレンが規則的に配列した薄膜を作製することを試みた。その結果稠密な単分子膜が得られ、また、電気化学測定から、この膜が溶液中の反応物イオン電荷選択的電子移動を示すことが分かった。本研究では、LB薄膜が単分子膜であることをZygoによる膜厚測定を行うことで確認し、さらに複数層堆積させた場合についても評価する。
2.実験(Experimental)
昨年度に引き続き、界面活性剤でフラーレンを分散させることを検討した。これまでにステアリン酸過剰の条件で、フラーレンを分散できることをπ-A曲線の測定により明らかにしている。今回は、ステアリン酸メチル(C17H35COOCH3),酢酸オクタデシル(CH3COOC18H37)またはモンタン酸(C27H55COOH)との混合系で、フラーレンを分散させることをZygoによる膜厚測定により検討した。このとき、膜を積層するために、基板の引き上げ押し下げを交互に続ける連続転写と、基板に膜転写した後再びL膜を形成させて膜転写を行うバッチ転写を試みた。
3.結果と考察(Results and Discussion)
ステアリン酸メチルの1層転写膜については、フラーレンがよく分散されている様子が見られ、3D画像では、フラーレン1個分の大きさに対応する突起を確認できた。続いて、3層バッチ転写膜については、図のようにフラーレンが分散され、密に存在している様子を確認できた。
酢酸オクタデシルの場合には、単体では膜にムラが見られたものの、混合系の3層バッチ転写膜では、フラーレンがよく分散され、積層に対応する膜厚を確認できた。モンタン酸の場合には、その長い炭素鎖が折れ曲がったり斜めに転写されることによって、隣同士の炭素鎖がつながってタイル状の膜が転写された。特に、混合系にすると、タイル状の特徴的な膜の中に、フラーレンが埋め込まれて分散される様子がはじめて確認された。
4.その他・特記事項(Others)
なし。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 日野和之ほか, 第13回分子科学討論会, 令和元年9月17日.
6.関連特許(Patent)
なし。







