利用報告書

プラスチックナノ複合材料の合成に関する研究
中谷久之
長崎大学大学院工学研究科

課題番号 :S-17-CT-0032
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :プラスチックナノ複合材料の合成に関する研究
Program Title (English) :Investigation of plastic nanocomposite preparation
利用者名(日本語) :中谷久之1)
Username (English) :HISAYUKI Nakatani1)
所属名(日本語) :1) 長崎大学大学院工学研究科
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering, Nagasaki University

1.概要(Summary)
ポリスチレン(PS)のアップグレードリサイクルの技術開発を念頭に、PSの分解に用いる可視光応答型光触媒の合成を行った。PSはポリマーよりもオリゴマーの方が高価であるため、廃PSを高収率でオリゴマーに変換することができれば、アップグレードリサイクル化を達成できる。しかしながら、現在までに知られている高分子鎖の切断手法では達成することが困難であるため、高分子材料における自動酸化反応という分子鎖の切断を引き起こす劣化に着目し、環境負荷を考慮した上で可視光応答型光触媒の開発を行い、その触媒活性について評価した

2.実験(Experimental)
鋳型となるポリスチレン-block-ポリアクリル酸(PS-b-PAA)は、リビングアニオン重合および加水分解することにより得た。このPS-b-PAAをトルエン中に溶解することで逆ミセルを形成し、オルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)の2-プロパノール溶液を加え、さらに銅フタロシアニン(CuPc)を加えて可視光応答型光触媒を合成した。活性点の構造評価は、千歳科学技術大学・分子物質合成プラットフォーム設置の透過型電子顕微鏡(Hitachi H-7600, 100 kV)で観察・評価を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 Figure 1にTiO2並びにCuPcを含むPS-b-PAA(PS-b-PAA-TiO2-CuPc)触媒のTEM写真を示す。PS-b-PAA-TiO2触媒では、比較的球状の酸化チタンが観測され、CuPc修飾後も球状の酸化チタンおよびCuPcと予測される棒状のものが観察された。以上の観察から、CuPcとTiO2の界面に存在する活性点により光触媒活性が向上したことを示唆する結果を得た。

4.その他・特記事項(Others)
「なし。」

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 宮川紫帆、平成29年度長崎大学大学院修士論文発表会、平成30年3月1日.

6.関連特許(Patent)
「なし。」

・謝辞
本研究の遂行にあたり、日立製透過型電子顕微鏡(Hitachi H-7600)の代行測定して頂きました千歳科学技術大学 ナノテク支援室 山崎 郁乃様にこの場を借りて感謝意表します。また本研究は平成29年度科学研究費補助金基盤研究(C) (課題番号:17K05949)の助成により実施された。

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