利用報告書

ヘテロ原子を含む微量化合物の結晶スポンジ法による構造決定
Shugeng Cao(Department of Pharmaceutical Sciences, University of Hawaii at Hilo)

課題番号 :S-20-MS-0038
利用形態 :協力研究
利用課題名(日本語) :ヘテロ原子を含む微量化合物の結晶スポンジ法による構造決定
Program Title (English) :Structure Elucidation of Small Amount of Compounds Containing Hetero Atoms by Using the Crystalline Sponge Method
利用者名(日本語) :Shugeng Cao1)
Username (English) :Shugeng Cao1)
所属名(日本語) :1) Department of Pharmaceutical Sciences, University of Hawaii at Hilo
Affiliation (English) :1) Department of Pharmaceutical Sciences, University of Hawaii at Hilo

1.概要(Summary )
申請者の独自研究により発見された化合物の化学構造の決定が本研究課題の目的である。
構造決定の手段としては、結晶スポンジ法を用いることとした。結晶スポンジ法は、2013年に報告された比較的新しい分子構造解析技術である。本手法には、解析対象化合物そのものを単結晶化することなく、単結晶X線構造解析を行うことができるという特徴があり、従来の手法では構造決定が困難な化合物であっても、構造解析を達成できる可能性がある。
具体的な結晶スポンジ法の測定においては、先ず、分子サイズの細孔を多数持つ有機金属錯体の結晶(結晶スポンジ)に解析対象化合物を吸蔵させる。結晶スポンジ内に導かれた解析対象化合物は、結晶スポンジの構造が持つ周期性に影響を受け、周期配列する為、単結晶X線構造解析の手法を用いて構造解析することができる。
本研究では特に、ヘテロ原子を含むことが質量分析の結果から示唆された4件の化合物(各0.1 mg程度)について、結晶スポンジ法による解析を試みた。

2.実験(Experimental)
申請者から提供された化合物を「結晶スポンジ法を用いた分子構造解析」にて解析した。
実験手順としては、先ず、解析対象化合物を結晶スポンジ内に導入する為に、様々な条件にて、結晶スポンジと解析対象物を含む溶液をインキュベートした。
更に、インキュベート後の結晶スポンジに対してRigaku社製 XtaLAB P200、 Rigaku社製 SuperNova、Rigaku社製XtaLAB SynergyCustomといった単結晶X線回折装置による測定を行った。測定データの解析には、Crysalis(Pro)、SHELXT、および SHELXLを用いた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
得られたデータを解析した結果、存念ながら、解析対象化合物の構造を決定するには至らなかった。
具体的には、結晶スポンジの構造自体は観測されたものの、その内部に解析対象物は観測されなかった。しかし、解析対象物とインキュベートした結晶スポンジから得られたデータは、解析対象物導入前の結晶スポンジから得られるデータとは差が見られたことから、解析対象物は結晶スポンジ内に導入されたと推察している。すなわち、解析対象物は結晶スポンジ内に導入されたものの、結晶スポンジ内にて、適切に周期配列していないことが、構造解析できなかった原因と考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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