利用報告書

ホール輸送材料の開発
小嶋 健輔、東 潤
京セラドキュメントソリューションズ株式会社

課題番号 :S-20-NR-0020
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ホール輸送材料の開発
Program Title (English) :Research/Studies on Materials of organic photoreceptor
利用者名(日本語) :小嶋 健輔、東 潤
Username (English) :Kensuke Kojima, Jun Azuma
所属名(日本語) :京セラドキュメントソリューションズ株式会社
Affiliation (English) :KYOCERA Document Solutions Inc.

1.概要(Summary )
電子写真に用いる有機感光体等で使用されるホール輸送材(以下HTMと表記)の開発では、それら材料の特性把握のために物性測定を行います。昨年から引き続き、弊社で所有していない貴設備の利用が必要となり、使用させて頂いた。
2.実験(Experimental)
実験装置:大気中光電子分光装置(AC-3)
実験方法:弊社で合成したHTMのイオン化ポテンシャル(以降IPと表記)を貴設のAC-3で測定頂い
た。
3.結果と考察(Results and Discussion)
弊社で合成の11種類のホール輸送材のイオン化ポテンシャルを測定した。(表1)
(1) 目標設定用モノマー系ホール輸送材(No.1)
この化合物は公知でありIPは5.0-5.1eVとして
知られており、弊社合成品も同様な値を確認した。
(2) モノマー系ホール輸送材(No.2A-2D)
弊社で新規の合成のHTMのイオン化ポテンシャルを測定した。構造の二重結合の数(共役が伸びるほど)IPが低くなり、目標値に到達すると考えていたが、そうならなかった、また明確なIP低下効果も確認できなかった。
(3) ポリマー系ホール輸送材(No.2A-2D)
弊社ではポリマー系HTMの合成の知見がなかったが、測定結果は予想通りの序列になり、モノマーHTMと同様に置換基の誘導で容易にIPが調整できることを

確認した。また目標値5.10eV丁度の 材料は得られていないが、最低な置換基を導入することで目標値と同等の材料も合成できることを確認した。
4.その他・特記事項(Others)
この度、AC-3の測定により有益な情報が得られました。ご指導・ご協力頂きましたNAIST技術職員の淺野間様には、大変お世話になり感謝いたします。今後も何卒ご協力頂けますよう、お願い申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

表1 弊社合成HTMのイオン化ポテンシャル測定結果

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