利用報告書

ポリアクリルアミド鎖とポリエチレンオキサイド鎖からなるジブロック共重合体の 加湿加熱による構造規則性の向上
松井 淳
山形大学理学部

課題番号                :S-19-NU-0046

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :ポリアクリルアミド鎖とポリエチレンオキサイド鎖からなるジブロック共重合体の 加湿加熱による構造規則性の向上

Program Title (English) :Enhancement of hierarchical structural order for a polyacrylamide diblock copolymer with polyethylene oxide by humid annealing

利用者名(日本語)      :松井 淳

Username (English)     :J. Matsui

所属名(日本語)        :山形大学理学部

Affiliation (English)  :Faculty of Science, Yamagata University

 

 

1.概要(Summary )

我々は、poly(dodecyl acrylamide) (PDDA)を構造骨格とした電気化学的発色性やプロトン伝導性を発現する高分子材料を提案している。最近、PDDAのスピンコート膜を加湿下および水中にて加熱処理を行うと、基板面外方向のX線散乱強度の増加と高次の散乱ピークが出現し、PDDAのラメラ構造の構造規則性が向上することを報告している。本研究では、PDDA鎖とポリエチレンオキシド(PEO)鎖を持つジブロック共重合体ブロックPDDA-b-PEOを合成し、温度のみの加熱処理および加湿下の加熱処理を行ったPDDAラメラ構造とミクロ相分離構造の小角X線散乱(SAXS)測定を行った。

 

2.実験(Experimental)

PDDA-b-PEOは、可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)重合によって合成した。PEO鎖を持つRAFT剤を用いDDAモノマーのリビングラジカル重合を行った。合成したPDDA-b-PEOの粉末を100℃にて加熱処理および加湿下60℃にて加熱処理を行い、それぞれSAXS測定を行った。X線散乱装置には、Rigaku FR-E/R-AXIS IVを用いた。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

加熱処理を行ったPDDA-b-PEO粉末および加湿加熱処理を行ったPDDA-b-PEO粉末のSAXSプロファイルをFigure 1に示す。加熱処理を行ったPDDA-b-PEOは、q = 2.33 nm-1 (2.7 nm)および 0.51 nm-1 (12 nm)に散乱ピークを示し、それぞれ、PDDAラメラ構造およびミクロ相分離シリンダー構造由来の散乱に帰属できる。加湿加熱処理を行うと、これらの散乱は、q = 2.14 nm-1 (3.0 nm)および 0.46 nm-1 (14 nm)にそれぞれ小角側にシフトし、散乱強度の増加および半値幅の減少が観察された。よって、加湿加熱処理を行うことにより、PDDAラメラ構造およびミクロ相分離構造の階層的な規則構造の向上が見られることがわかった。

Figure 1. SAXS profiles for thermal annealed (black) and humid annealed (blue) PDDA-b-PEO.

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

 

6.関連特許(Patent)

なし

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