利用報告書

マイクロ波局所反応場による銀ナノ粒子生成過程の解明
岩崎亮太1), 辛韵子2) , 白井孝1,2)
1) 名古屋工業大学大学院工学研究科,2) 名古屋工業大学先進セラミックスセンター

課題番号                :S-18-NI-0027

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :マイクロ波局所反応場による銀ナノ粒子生成過程の解明

Program Title (English) :Investigation on  Formation Mechanism of Metal Nanoparticle Synthesized by Microwave-Assisted Process

利用者名(日本語)      :岩崎亮太1), 辛韵子2) , 白井孝1,2)

Username (English)     :R. Iwazaki1), Y. Xin2), T. Shirai1,2)

所属名(日本語)        :1) 名古屋工業大学大学院工学研究科,

2) 名古屋工業大学先進セラミックスセンター

Affiliation (English)  :1) Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology,

2) Advanced Ceramics Research Center, Nagoya Institute of Technology.

 

 

1.概要(Summary )

銀ナノ粒子は触媒材料、医療材料、光学材料など様々な分野に応用が進められている[1]。銀ナノ粒子を合成する際に、より小さく均一な粒子を作製する方法として湿式合成法が広く用いられている。近年では迅速かつ均一なナノ粒子を得るためにマイクロ波を用いた湿式合成の研究が注目されている[2]。一方で、マイクロ波加熱合成時の詳しい合成メカニズムについては明らかになっていない。本課題では液相合成法を用いた銀ナノ粒子合成において、加熱過程にマイクロ波加熱および通常加熱を用いた場合のナノ粒子の合成過程の違いとそれに伴う特性の変化について調査した。

 

2.実験(Experimental)

マルチモードマイクロ波装置とオイルバスを用いて、液相合成により銀ナノ粒子を合成した。原子分解能分析電子顕微鏡(日本電子/JEM-ARM200F)を用いて、合成された金属ナノ粒子の粒子形態、粒径分布、結晶性評価及び化学組成分析を行った。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

図1に合成後の銀ナノ粒子のTEM画像を示す。通常加熱(オイルバス)により合成した粒子は格子縞が均一にそろっており欠陥の少ない粒子が作製されているのに対し、マイクロ波加熱により合成した粒子は格子縞がランダムに生じており多結晶の粒子が生成されていることが確認できた。マイクロ波局所反応場により多結晶ナノ粒子の生成挙動について、加熱中、液相の中に多数のホットスポットが発生するため[3]、ホットスポットによって急激な温度勾配をもつ部分が生じることにより、多結晶の結晶核成長より促進されると考えた。

図1:合成された銀ナノ粒子のTEM画像 (a:通常加熱, b:マイクロ波加熱)

 

 

 

 

 

 

4.その他・特記事項(Others)

参考文献

[1] M. A. Shenashen et al, Part. Part. Syst. Charact, 31, 293–316 (2014).

[2] M. Nishioka et al, Nanoscale, 3, 2621-2626 (2011).

[3] N. Haneishi et al, Ind. Eng. Chem. Res., 56, 7685-7692 (2017).

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

(1) 岩崎亮太, 辛韵子,Nguyen Huu Hien,白井孝 第7回日本セラミックス協会MFD研究会, 平成31年3月4日.

(2)岩崎亮太, 辛韵子,Nguyen Huu Hien,白井孝 日本セラミックス協会2019年会, 平成31年3月24日.

 

6.関連特許(Patent)

なし。

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