利用報告書

マラカイトグリーン誘導体を骨格とした光塩基発生剤の開発
竹中 大輝1), 宇田 亮子1)
1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科

課題番号 :S-18-NR-0028
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :マラカイトグリーン誘導体を骨格とした光塩基発生剤の開発
Program Title (English) :Development of photobase generator based on malachite green derivative
利用者名(日本語) :竹中 大輝1), 宇田 亮子1)
Username (English) :D. Takenaka1), R. Uda1)
所属名(日本語) :1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科
Affiliation (English) :1) National Institute of Technology, Nara College

1.概要(Summary )
フォトレジストに代表されるようなエレクトロニクス関連デバイスの作製に用いられる感光性樹脂では、光でラジカルまたはカチオン、アニオンを発生させポリマーを重合(硬化)または分解させている。しかしラジカル系は空気中の酸素が阻害し硬化不良を起こしやすく、またカチオン系は強酸を触媒として用いるためにデバイス内部の金属を腐食させるという問題が発生する。そこで、アニオン系の開発が望まれているが、実用化されているのはアミン発生する系が主流であり、それ以外の光塩基発生剤の報告例は少なく、更なる開発が望まれている。そこで本研究ではマラカイトグリーン誘導体に着目した。マラカイトグリーン誘導体は、光で脱離基が解離しカチオンとなる光イオン化反応を示す(Figure 1)。光イオン化で発生した脱離基が塩基として機能すれば、光塩基発生剤としての展開が期待できる。

本研究では、適切な脱離基を持たせたマラカイトグリーン誘導体を合成し、その光イオン化反応と有機塩基の発生を分光光度計により評価した。さらにマラカイトグリーン誘導体への光照射によるシクロヘキセンオキシドの重合を調べた。

2.実験(Experimental)
メトキシ基が脱離基となるマラカイトグリーン(MGOMe)を合成し、その光イオン化反応とメトキシ基の脱離を分光光度計にて評価した。また光照射による重合反応を調べるために、シクロヘキセンオキシドにMGOMeを2mol%加えた混合液にキセノンランプを光源とした紫外光を照射し、室温にて3時間反応させた。その後MALDI-TOF-MSにて、反応液の分子量に関する知見を得た。

3.結果と考察(Results and Discussion)
光照射後のMGOMeの可視紫外吸収スペクトルでは620nm付近にピークが出現し光イオン化反応が進行していることが確認された。更に1H NMRの結果から、光イオン化したトリフェニルメチルカチオンと共にメトキシのピーク強度が増加しており、光照射により有機塩基が発生したことが示された。この発生塩基を用いた重合反応を、シクロヘキセンオキシドを用いて検討したが、MALDI-TOF-MSの測定結果からは高分子量物に相当するピークを確認することはできなかった。重合条件やモノマーを変えて検討を行う必要があると考えられる。

4.その他・特記事項(Others)
本研究は、ナノテクノロジープラットフォーム「分子・物質合成フラットフォーム」の支援を受けて行われました。また質量分析測定に関して、奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学領域の西川嘉子様に御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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