利用報告書

マラカイトグリーン誘導体を骨格とした光塩基発生剤の開発
竹中 大輝1), 宇田 亮子1)
1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科

課題番号 :S-19-NR-0017
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :マラカイトグリーン誘導体を骨格とした光塩基発生剤の開発
Program Title (English) :Development of photobase generator based on malachite green derivative
利用者名(日本語) :竹中 大輝1), 宇田 亮子1)
Username (English) :D. Takenaka1), R. Uda1)
所属名(日本語) :1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科
Affiliation (English) :1) National Institute of Technology, Nara College.

1.概要(Summary )
フォトレジストに代表されるようなエレクトロニクス関連デバイスの作製に用いられる感光性樹脂では、光でラジカルまたはカチオン、アニオンを発生させポリマーを重合(硬化)または分解させている。しかしラジカル系は空気中の酸素が阻害し硬化不良を起こしやすく、またカチオン系は強酸を触媒として用いるためにデバイス内部の金属を腐食させるという問題が発生する。そこで、アニオン系の開発が望まれているが、実用化されているのはアミン発生する系が主流であり、それ以外の光塩基発生剤の報告例は少なく、更なる開発が望まれている。そこで本研究ではマラカイトグリーン誘導体の反応に着目した。マラカイトグリーン誘導体は、光で脱離基が解離しカチオンとなる(Figure 1)。光イオン化で発生した脱離基が塩基として機能すれば、光塩基発生剤としての展開が期待できる。

本研究では、メトキシ基(X= OMe)やヒドロキシ基(X= OH)を脱離基としたマラカイトグリーン誘導体を合成し、その光イオン化反応を分光光度計により評価した。さらにマラカイトグリーン誘導体への光照射によるメタクリル酸メチルの重合を調べた。

2.実験(Experimental)
メトキシ基をもつマラカイトグリーン(MGOMe)とヒドロキシ基をもつマラカイトグリーン(MGOH)の光イオン化反応を調べた。また光照射による重合反応を調べるために、メタクリル酸メチルにMGOMeを1 mol%加えたジメチルスルホキシド溶液にキセノンランプを光源とした光を照射し、20℃に48時間反応させた。その後ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて低分子量の未反応物を取り除き、MALDI-TOFF-MSにて反応物の分子量に関する知見を得た。
3.結果と考察(Results and Discussion)
分光光度計を用いた評価によりMGOMeの方がMGOHより光イオン化反応が進行しやすいことが分かった。Figure 2にMGOMeへの光照射により促進させたメタクリル酸メチルの反応物のMALDI-TOFF-MSスペクトルを示す。m/z=2000~3000にピークが観られメタクリル酸メチル重合物が得られたことが分かった。一方で光照射を行わなかった場合や、MGOMeを添加せずに反応させた場合には、重合物が得られなかった。これらの結果はMGOMeが光塩基発生剤として機能したことを示している。

4.その他・特記事項(Others)
本研究は、ナノテクノロジープラットフォーム「分子・物質合成フラットフォーム」の支援を受けて行われました。また質量分析測定に関して、奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科の西川嘉子様に御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 竹中大輝、宇田亮子、日本化学会第100春季年会、令和2年3月23日.

6.関連特許(Patent)
なし

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