利用報告書
課題番号 :S-16-SH-0021, 30
利用形態 :共同研究型
利用課題名(日本語) :メカノケミカル法で作成した複合粒子の電気特性
Program Title (English) :Electronic properties of complex particles made by mechanochemical reaction
利用者名(日本語) :吉岡 謙 、坂井一勝
Username (English) :K.Yoshioka,K.sakai
所属名(日本語) :KOA株式会社 技創りセンター 要素技術開発グループ
Affiliation (English) :KOA Corporation
1.概要(Summary )
SiC半導体が出回るようになって,その特徴を活かすために,周辺部品の耐熱性向上が求められている。
抵抗器メーカーとして,その対策の一つとして,抵抗皮膜の熱伝導性を向上させる検討を行っている。現在,抵抗皮膜の導電性を制御するために,高価な材料であるRuO2ナノ粒子の配合量で調整している。
そこで,抵抗皮膜中のRuO2の使用量を削減し,かつ,熱伝導性を向上させて耐熱性向上を図ることを試みた。具体的には,RuO2ナノ粒子を高い熱伝導性を持つAl2O3微粒子表面にメカノケミカル的な手法で修飾する方法を検討した。
2.実験(Experimental)
数μmサイズの球状Al2O3微粒子表面に,数十nmサイズのRuO2ナノ粒子を,メカノケミカル的な手法で修飾した複合粒子を作製した。
複合化する時の処理条件を変えて,処理後の状態をミクロ的にはTEM観察,マクロ的には粉体抵抗(①2探針法 ②4探針法)測定を行った。得られた結果を複合粒子の作製条件にフィードバックして,作製条件の最適化を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に球状Al2O3微粒子表面にRuO2ナノ粒子を1
図1 Al2O3粒子とRuO2粒子を複合化した粒子のTEM像
層分修飾した複合粒子のTEM像を示す。Al2O3粒子表面にRuO2粒子が100nm程度の厚みで修飾されていることが確認できた。ただし,均一な厚みでは修飾されてはいなかった。
図2に2探針法で測定した状Al2O3微粒子表面にRuO2ナノ粒子を1層分修飾した複合粒子の粉体抵抗の測定結果を示す。250MPa程度の圧力をかけた時に粉体抵抗が50Ωcm程度に収束したことから,別途RuO2ナノ粒子のみで測定した粉体抵抗が250MPa程度の圧力をかけた時に粉体抵抗が0.001Ωcm程度であったことがと合わせると,複合粒子は抵抗値として5万倍程度大きくなったことになる。これは,複合粒子を用いると,現状よりも高抵抗の皮膜を作製できる可能性を示唆している。
4.その他・特記事項(Others)
TEM観察は山上技官,粉体抵抗測定ならびに作製条件の最適化においてWang 助教および森本研究員にご協力いただいた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
データがまとまり次第出願する予定である。