利用報告書
課題番号 :S-16-JI-0011
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ラマン分光法を用いたカーボンナノチューブの結晶性評価
Program Title (English) :Crystallinity Evaluation of Carbon Nano-Tube by use of Raman Spectroscopy
利用者名(日本語) :山崎 悟志
Username (English) :S.Yamazaki
所属名(日本語) :古河電気工業株式会社
Affiliation (English) :FURUKAWA ELECTRIC Co., Ltd.
1.概要(Summary )
銅並の導電性を示すと言われ、金属よりも遥かに軽いカーボンナノチューブ(CNT)は、次世代の導電材料として注目されている。古河電工では、CNTの特性に着目し、CNTを用いた電線開発を行なっている。電線開発において重要な特性として導電性が挙げられるが、これを向上されるためには、CNT自体の結晶性を高める必要がある。CNTの結晶性を評価するためには、CNTのラマン散乱スペクトルを測定し、その解析を行なった。
2.実験(Experimental)
合成条件の異なるCNTを準備した。ラマン散乱分光装置(HORIBA-JY T64000)を用いて測定を行なった。入射光の波長はλ=532 nmを選択した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
CNTのラマン分光スペクトルには、いくつかの特徴的なピークが存在し、それらはG band, D band, RBM bandと呼ばれている。各ピークは、炭素六角網面のC-C結合に由来したピークがG bandであり、炭素六角網面に欠陥がある場合、それに由来したピークがD bandである。また、CNTの直径に由来したピークがRBM bandである。図1のラマン分光スペクトルの通り、今回準備した試料においても上記のピークが確認できる。
次にCNTの結晶性だが、G bandとD bandの強度比G/Dの算出し、比較することで評価を行なった。図2はバックグラウンドを差し引いた後、G bandの強度で規格化したラマン分光スペクトルである。図2の挿入図からわかる様に、最もD bandの強度が大きいのは試料Aであり、最も小さい試料Dである。G/D比は試料A=50であり、試料D=83であった。試料の導電性もG/D比に比例して大きくなっていることから、本評価方法は導電性の開発に有効であることがわかった。
4.その他・特記事項(Others)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
6.関連特許(Patent)







