利用報告書

リチウムイオン電池用負極材料の開発とその評価
北野高広
テックワン株式会社

課題番号 :S-17-JI-0006
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :リチウムイオン電池用負極材料の開発とその評価
Program Title (English) :Evaluation of anode materials for LIB
利用者名(日本語) :北野高広1)
Username (English) :T.Kitano1)
所属名(日本語) :1)テックワン株式会社
Affiliation (English) :1) TEC ONE, Co., Ltd.

1.概要(Summary )
 リチウムイオン電池はスマートフォンやモバイルPC等に利用されている二次電池であり近年ではハイブリッド自動車や電気自動車へも応用されている。従来利用されていた鉛蓄電池やニッケル水素電池に比べエネルギー密度が高い点がモバイル用途に利用されているポイントである。
 最近では地球温暖化の抑制やPM2.5の問題等から電気自動車の普及が進んでいるものの航続距離が課題の一つとなっている。
 航続距離を伸ばすには電池の搭載量を上げればよいが、これでは車輌が大きく、重くなってしまう。このため電池メーカーには更なるエネルギー密度の向上が求められている。
 リチウムイオン電池は主に正極、負極、セパレータ、電解液からなるが、エネルギー密度を上げるには正極や負極の活物質をより容量の高い材料に変更することが最も効果的である。
 負極材料に注目すると、従来は炭素系材料が主に使われていたが、高容量の材料としてシリコン系負極材料が注目されている。
 ただしシリコン系負極材料は容量が高い、即ち重量当たりに取り込めるリチウムイオンの数が多いため、充放電に伴う体積変化も大きい。従ってサイクル特性が課題となっている。
 このためシリコン系負極材料の開発においては充放電に伴う負極の変化を把握することが重量な項目の一つとなる。
 そこで今回は充電後の負極をサンプルとしてTEM観察を行った。

2.実験(Experimental)
使用装置名:
・高分解能透過型電子顕微鏡・HR-TEM日立ハイテクノロジーズ社製 H-9000NAR
・集束イオンビーム加工装置・FIB(SIIナノテク社製 SMI3050)
・原子分解能走査透過型電子顕微鏡
・STEM(日本電子社製 JEM-ARM200F)

3.結果と考察(Results and Discussion)
 FIB加工により電極切片を切り出すことができた(図1)。

(図1)FIBによって切り出された電極のSEM写真
 充放電後の電極でも充放電前同様の観察ができることが明らかとなった(図2)。

(図2)切り出された電極のTEM像

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